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第14の失敗

 私の事務所のホームページに「無料の技術相談コーナー」があります。日本の大手企業からの依頼で、「部品の共通化として、モジュール化やプラットホーム化の設計改革を指導してほしい」というコンサルテーション(以下、コンサル)依頼がありました。ブランド名に引かれ、私はうれしくて二つ返事をしてしまいました。

 その依頼事項を進めていくうちに徐々に判明したのは、[1]設計力が貧弱、[2]設計書もない/書けない、[3]技術者にコスト意識がないということです。実はまだあったのですが、おおむねこれら3つがコンサルにとっての阻害要因でした。

 [3]については、コンサルタントのプロ根性で社員である技術者たちをどうにか説得できましたが、残りの2つは難題でした。それでも、私はコンサル・フィー欲しさに強引にモジュール化を推進したのです。

 その結果、見た目の低コスト化は図れましたが、約3年後、部品共通化によるトラブルの共通化につながってしまいました。その後、大規模リコールへと発展したのです。

 クライアント企業の設計力の欠如が大きな問題だったことは否めませんが、コンサルとしては、先を急ぎ過ぎた大失敗だったことは確かです。

私の事務所ではモジュール化やプラットホーム化は禁止

 たまには、いきなり結論から入りましょう。図1を見てください。

図1●部品の各種共通化とそのリスク
図1●部品の各種共通化とそのリスク
(作成:國井技術士設計事務所)
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 左から部品(/組体)の「標準化」「共通化」「ユニット化」「モジュール化」「プラットホーム化」と並んでいますが、右へ行くほど共通化するための対象部品が増加し、低コスト化に寄与します。しかし、良いことずくめであるはずがありません。右へ行くほどリスキーであり、損失額が増大します。

 また、共通化には「技術の陳腐化」が潜在しています。右へ行くほど技術の確立に時間がかかるからです。技術革新が激しい現在、技術の確立に時間がかかる共通化は陳腐化をもたらすリスクを有すると言えるのです。

 これを簡単にまとめると、右へ行くほど次のようになります。

  • (1)低コスト化の効果は大きい
  • (2)損失額のリスクも大きい
  • (3)技術が陳腐化するリスクが大きい

 この悪(あ)しき代表例が、繰り返される大企業による大規模リコールです。