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Q.量子暗号通信はどうやって導入?

A.量子暗号通信を導入するには新たにシステムを構築する必要があります。送信機と受信機を用意し、これらを光ファイバーで接続する形が一般的です。この際、2地点をつなぐ光ファイバーの長さは100km程度までとなります。

 量子暗号通信を導入するためには、暗号鍵となる光子(光の粒子)を送信する送信機と、受信する受信機が必要です。送信機と受信機は専用路として光ファイバーで接続する形が一般的です。上記の暗号鍵の配送路に加えて、暗号化したデータそのものを送受信する別の通信路も必要です。

 最も簡単な構成例は、量子暗号通信を行う2地点を1対の専用装置でつなぐ形態です(図1)。この際、2地点をつなぐ光ファイバーの長さは100km程度までとなります。量子暗号通信で使う光子は、光ファイバーの伝送路でロスすることが多く、現状の技術で安定的に光子を送受信できるのが100km程度になるからです。都市圏内のオフィス間、あるいは、データセンターとオフィスの間での利用が想定されます。

図1 2地点を1対の量子暗号通信装置でつなぐ
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図1 2地点を1対の量子暗号通信装置でつなぐ
(出所:東芝の資料を基に日経クロステックが作成)

 100km以上の距離を量子暗号通信で中継したい場合、拠点Aと拠点Bの間に中継点を設けて数珠つなぎにすることで、長距離伝送が可能です(図2)。中継点では⼀度、暗号鍵が通常のデジタル情報として扱われますので、従来⽅法による情報漏えい対策を講じる必要がありますが、それぞれをつなぐ通信路上では、暗号鍵が漏れる⼼配はありません。

図2 中継点を介せば100km以上の伝送が可能
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図2 中継点を介せば100km以上の伝送が可能
(出所:東芝の資料を基に日経クロステックが作成)

 さらに図3のように、量子暗号通信を広域でネットワーク化し、共通インフラとして多くの利用者で共有することも可能です。

図3 広域でネットワーク化することで多くのユーザーがサービスとして利用可能に
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図3 広域でネットワーク化することで多くのユーザーがサービスとして利用可能に
(出所:東芝の資料を基に日経クロステックが作成)

 現在の量子暗号通信は、普及の初期段階にあります。図3のようなインフラとして整備されていませんので、量子暗号通信を利用するには新たなシステムの構築が必要です。コストもかかるため、漏えいした場合に莫大(ばくだい)なダメージとなる情報の通信から利用が始まると考えられます。