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自動運転関連技術は、あたかもゴールドラッシュであるかのように世界中の資金と人材がつぎ込まれ、新技術を生み出す一大テクノロ ジードライバーとなりつつある。エレクトロニクスとMEMS、Si フォトニクス、無線技術、自動車をセンサーとみなすエッジコンピューティング、そして人工知能(AI)。これらが、さまざまに融合して渦巻く、激しい競争の世界になっている。今、国内外の自動運転の進捗と共に、技術開発の最先端をお伝えする。

 現在の自動運転関連技術は、エレクトロニクスの技術史の中でも有数の激しい技術開発ラッシュのただ中にある。単なる性能改善ではない地滑り的な技術革新が次々と起こり、1年前の技術があっという間に陳腐化してしまう。競争相手は世界中にいて、誰が本当の覇者になるか予想すら難しい状況だ。

2年前で既に107社がひしめく

 それを象徴するのが、レーザー光を利用して対象物までの距離を測るレーダー「LiDAR(Light Detection and Range)」である(図1)。3年ほど前までは、車載用LiDARといえば事実上、米Velodyne Lidar製品の一択だったが、あっという間に競合製品が増えた。

図1 Velodyneの1人舞台から一気にソリッドステート式のレッドオーシャンに
図1 Velodyneの1人舞台から一気にソリッドステート式のレッドオーシャンに
車載向けかつ測距可能距離が200m以上をうたう主な製品または開発品を示した。2018年からVelodyne以外のLiDARが増え始め、2020年にはMEMSミラーを用いたソリッドステート式の製品が急増した。回転式のものは価格が100万円以上するものがほとんどだが、ソリッドステート式の製品は量産時には500米ドル以下とするものが多い。測距距離は200mでも車載向けとしていない製品では、既に価格が3万円を切ったものもある。この中のソリッドステート式はほとんどがMEMSミラー型だが、米Cepton Technologiesの製品は、独自の「MMT(低摩擦マイクロモーションテクノロジー」を採用している。(写真:VLP-32C、Hydra、Iris、OS1-128、XenoLidar、Vista-X120は日経クロステック、それ以外は各社)
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 調査会社の米IDTechExによれば車載向けLiDARのメーカーは2019年11月時点で107社だったとする。現在は、さらにそこから大幅に増えている可能性がある。

 数だけでなく、技術的にも変化が激しい。回転式しかなかった状況から、2019年にMEMSミラーでレーザー光を走査するタイプの製品が発売され始めると、その後はMEMSミラー型が一気に主流になった。

 しかも、このMEMSミラー型の勢いがしばらく続くかどうかも不透明だ。早ければ2022年にも、まったく別の測距原理や実装技術を用いたLiDAR製品が登場してくるからである。