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 自動車の資源採掘から生産、流通、廃棄までライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)。製造時の排出量が多く、LCAでとりわけ厳しいとされるのが炭素繊維強化樹脂(CFRP)である。軽さを武器に自動車への普及が少しずつ進む中、存在価値を失いかねない。東レ、帝人、三菱ケミカルの大手3社はCO2の大幅削減に挑み始めた。

炭素繊維の「脱炭素」は実現するか
炭素繊維の「脱炭素」は実現するか
(写真:BMW)
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 3社は「企業競争力に直結する」として、現時点のLCAにおけるCFRPの製造時CO2排出量を明かさない。ただ3社が加盟する炭素繊維協会の過去の調べで、炭素繊維を50質量%含むCFRPで1kg当たりの排出量は約15kg(以下、CO2排出量は素材1kg当たりの数値で記す)とされる注1)。鉄鋼の排出量は約2.3kgと小さく、その差はかなり大きい。

 さらに自動車の代表的な軽量化素材であるアルミニウム(Al)合金の約11kgにも及ばない。今後LCAで規制がかけられると、CFRPの競争力は大きく低下してしまう。

注1)炭素繊維協会の調べによる炭素繊維自体の製造時CO2排出量は22.4kg。CFRPにすると約15kgに減るのは、排出量が少ない樹脂(2~5kg程度とされる)を母材とし、50%程度の質量比で複合するため。

 CFRPは日本メーカーの牙城であり、日本の自動車産業への影響は大きい(図1)。CFRP大手3社は、製造工程におけるCO2排出量の削減と、リサイクル技術の導入という主に2つの手段で、LCAにおけるCFRPのCO2排出量を下げることを目指す。

図1 CFRPを使えば車両質量を大幅に下げられる
図1 CFRPを使えば車両質量を大幅に下げられる
東レのCFRP車体(下)を使った電気自動車(上)の質量は846kgと軽い。そのうち220kgが電池。(写真:日経クロステック)
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