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 自動車の軽量化素材として代表格のアルミニウム(Al)合金――。生産から廃棄までのライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)で、鉄鋼に比べると5倍近くになり不利だ。鍵を握るのがリサイクル品で、その排出量は鉄鋼を下回るとされる。日産自動車やトヨタ自動車がアルミメーカーと協業し、これまで進んでいなかった高品質な自動車用外板のリサイクルに取り組み始めた。

Al合金のクローズドループのリサイクルが広がり始めた
Al合金のクローズドループのリサイクルが広がり始めた
(出所:Audi)
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 Al合金の製造時CO2排出量は、自動車でよく使われる5000系と6000系の板材で約11kg(日本アルミニウム協会調べ)と大きい()。鉄鋼が約2.3kgとされるため、5倍に上る。

 排出量が多いのは、ボーキサイトを電気分解して新地金にする際に、大量の電力を消費するためである。日本に輸入される新地金の製造時CO2排出量は9.24kgと、大半を占める。来るべきLCAによるCO2排出量規制に備えるにはAl新地金の使用量を抑制し、再生地金(リサイクルした地金)を増やすことが重要になる。

表 各種Al合金の製造時CO<sub>2</sub>排出量
表 各種Al合金の製造時CO2排出量
日本アルミニウム協会の資料に基づき日経クロステックが作成。
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 再生地金の製造時CO2排出量は0.309kgと新地金の9割超減で、鉄鋼を下回る水準だ。日産など自動車メーカー各社が、Al合金のクローズドループリサイクルなどに取り組み始めた。いずれリサイクルの仕組みがない自動車メーカーはAl合金を使えなくなる可能性に備える。

†クローズドループリサイクル=品質の低下を伴わずに同じ製品に再生するリサイクルのこと。これに対して元の製品の品質には戻らず、品質の低下を伴うリサイクルをカスケードリサイクルという。