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 自動車の生産から廃棄までライフサイクル全体で二酸化炭素(CO2)排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)。加工時の排出量が多く、逆風となるのが近年採用が増えていたホットスタンプ(熱間プレス)である。トヨタ自動車系プレスメーカーのフタバ産業や世界最大手のスペインGestamp Automocion(ゲスタンプ・オートモシオン)は、設計や成形工程に工夫を凝らし、冷間プレスに劣らぬCO2排出量を目指す。

ホットスタンプの躍進は続くのか
ホットスタンプの躍進は続くのか
(写真:Gestamp Automocion)
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 「熱間プレスのラインを増やす考えはない」――。

 これまで熱間プレスを積極的に導入してきたフタバ産業。世界で6本のラインを導入してきたが、今後の投資には慎重な姿勢を示す。熱間プレスの需要が当面、頭打ちと見込むからだ。

 背景には、通常のプレス加工である冷間プレスに比べて、熱間プレスの製造時CO2排出量が大きいことがある。LCAに対する注目が高まる中、熱間プレス材の不透明感が強まる。

 熱間プレスは鋼板の引っ張り強さを大きくできる一方、熱するのにエネルギーを多く使用する。例えば590MPaの鋼板を900~950度の炉で加熱し、冷やした金型で成形時に急冷することで1.5GPaにする。プレスの専門家は、エネルギー使用量が冷間プレスに比べて数割大きくなるとの見方を示す。

 加えて、冷間プレスの性能向上が進んできたこともある。熱間プレス材と同等水準の1.5GPa級超高張力鋼板(超ハイテン)の量産が始まった。熱間プレス材の牙城を冷間プレス材が切り崩し始めた。

 日産自動車が2020年12月に発売した小型車「ノート」で、ユニプレス製の1.5GPa級冷間プレス材を採用した。フタバ産業も1.5GPa級の準備を進めており、近い将来に量産を始める計画だ(図1)。その先には熱間プレス超えの1.8GPa級まで見据える。

図1 冷間プレスが熱間プレスの牙城を脅かす
図1 冷間プレスが熱間プレスの牙城を脅かす
フタバ産業が開発している1.5GPa級冷間プレス材。(写真:フタバ産業)
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 LCA対応と冷間プレス材の性能向上を受けて、トヨタ幹部は今後のプレス材について「コストとCO2排出量を抑えやすい冷間プレス材をうまく活用したい」との考えを示す。