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 米Apple(アップル)が米国時間2021年4月20日に開催した発表イベントは、小粒な話題が寄せ集まった印象だった。M1搭載の24インチiMacは、メモリーが8GBというだけで、M1 Mac miniメモリー8GBモデルのユーザーである自分的には、いまいち気持ちが入らない。M1 Mac miniを普段使っていて、メモリー8GBで困ったことは一度もないのに、人間というものは欲深いものだ。

 AirTagは新鮮味はあるが本流の製品ではないためか、なるほどね、という程度。ただ、AirTagの機能を見て思ったことがある。筆者は忘れ物防止タグ「MAMORIO」の初期からのユーザーだが、大量のアップル端末で形成される「探す」ネットワークを持つアップルが、忘れ物防止タグに参入したとなると、この分野はこれまでとぜんぜん違った様相でビジネスが回り始めるんだろう。折しも「探す」の仕組みが、サードパーティー製品にも解放されたこともあり、アップルが眠っていた市場のトビラを開け放すことになるのかもしれない。

Air Tagは1個3800円(税込み)となかなかのお値段だが、電池交換可能な点に安心感を覚える。約2700円で電池交換ができないMAMORIOは、半額の交換サポートが提供されているとはいえ、高コストに感じ、心理的抵抗があった
Air Tagは1個3800円(税込み)となかなかのお値段だが、電池交換可能な点に安心感を覚える。約2700円で電池交換ができないMAMORIOは、半額の交換サポートが提供されているとはいえ、高コストに感じ、心理的抵抗があった
(出所:アップル、以下同じ)
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 今回発表の真打ちであるiPad Proに至っては、あまりの高スペックに驚きつつ、購入検討のためにオンラインのアップルストアで見積もった瞬間に「M1 MacBook Proのほうがいいや」と気落ちする中で一刀両断してしまった。

2030年までにカーボンニュートラルを目指す

 さて、筆者が興味を持ったのは、カーボンニュートラルとポッドキャストの収益化の2件だった。今回のイベント動画で、ティム・クックCEOは、カーボンニュートラルの話で口火を切った。電子機器のメーカーとして、あるいは時価総額で世界有数の企業となったアップルとして、単にiPhoneやMacをたくさん造って売りまくることこそが正義、という時代は過去のものであることを改めて思い知らされた。

 先日の気候変動サミットでは、米現政権が2030年までの温暖化ガス削減幅を大幅に引き上げることを宣言した。米国を代表する企業として、カーボンニュートラルをけん引する責任があるのだろう。

 アップルは、2020年7月に「Apple、2030年までにサプライチェーンの 100%カーボンニュートラル達成を約束」というリリースを公開した。事業全体、製造サプライチェーン、製品ライフサイクルのすべてにおいて、2030年までにカーボンニュートラルを目指すという内容だ。

2014年以来、Appleのデータセンターの電力は、すべて100%再生可能エネルギーで賄われているという
2014年以来、Appleのデータセンターの電力は、すべて100%再生可能エネルギーで賄われているという
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 その後、2021年3月には、「Apple、サプライヤー110社以上の再エネへの課題解決に協力」を公開している。それによると「当社の世界中の製造パートナー110社以上が、Apple製品の製造に使用する電力を100パーセント再生可能エネルギーに振り替えていくことを発表」と誇らしげに語っている。

 アップルに部品や部材を供給する企業も、きょうびは単にものづくりをしていればいいという話ではなく、いろいろと大変なんだなと思いつつ、iPhone向け有機ELディスプレーを製造するジャパンディスプレイのサイトで、CSRに関する情報を探した。情報発信はされているのだが、霞が関の役人のプレゼン資料を見ているようで、感性に訴えるものがまったくない。読む気がしない。

 その一方で、アップルの「環境」というページは、とてもフレンドリーな作りになっている。内容の中立性や公平性は脇に置いておいて、コンテンツとしての説得力は申し分ない。硬軟取り混ぜ、感性に訴えたかと思うと、環境負荷について数値を示し、論理的かつ分かりやすい資料が製品ごとに用意されている。

参考サイト:アップルの「環境」
アップルの「環境」ページの一部。M1 iMac(右端)は、一世代前のモデルと比べて約20%のカーボンフットプリント削減を実現している
アップルの「環境」ページの一部。M1 iMac(右端)は、一世代前のモデルと比べて約20%のカーボンフットプリント削減を実現している
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