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 「4つの危機感があり、それらを克服するためにデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させている」。積水化学工業の前田直昭デジタル変革推進部ビジネスプロセス変革グループグループ長はこう力を込める。これは日経BP 総合研究所 イノベーションICTラボが2021年3月17日に開催した「ITイノベーターズ会議」での発言だ。

 積水化学は現在、「グローバル競争に挑んで業容を倍増する」という目標を掲げ、国内中心の事業構造から脱却し、成長の軸足を海外市場に移そうとしている。そんななか、同社が抱いたのが、ガバナンスや労働力不足、経営データの分散、市場変化に伴う収益力低下という4つの危機感だった。これら4つの危機感を克服し、グローバル競争に勝ち抜くための「手段」と位置付けたのがDXだった。

積水化学工業は2022年度までの中期経営計画で「デジタル変革」を重要施策に位置付ける
積水化学工業は2022年度までの中期経営計画で「デジタル変革」を重要施策に位置付ける
(出所:積水化学工業)
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「積水化学のDXとは」――加藤社長や幹部が集まり1年間議論

 積水化学のDXで特徴的なのは「チェンジマネジメント」を重視したことだ。約1年かけて、加藤敬太社長や各事業・コーポレート部門の幹部らが集まり、DXの方向性や具体策について議論を重ねた。

「4つの危機感」が積水化学工業のDXの背中を押した
「4つの危機感」が積水化学工業のDXの背中を押した
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 「積水化学における危機感や課題をどう解決していくのか。その手段としてのDXはどうあるべきなのか。膝詰めで検討できた」。前田グループ長はこう手応えを語る。チェンジマネジメントを通じて、経営陣や幹部、キーパーソンが密に対話しながら、将来のあるべき姿やDXの具体的な施策を決めたのである。

 積水化学が取り組むDXの目玉施策の1つが、基幹系システムの刷新だ。現行の基幹系システムは、現状のビジネスに最適化されており、ほぼベストな状態という。それでも、グローバル市場での事業を円滑に進めるために、新たな基幹系システムを構築することにした。現在、グローバル標準のクラウド型ERP(統合基幹業務システム)への移行を進めている。

 スピード感を持ってDXを推進するため、組織体制にもメスを入れた。積水化学は2020年4月に「デジタル変革推進部」を新設。その傘下に「ビジネスプロセス変革グループ」と「情報システムグループ」の大きく2グループを置く体制とした。主にビジネスプロセス変革グループが基幹系システム刷新などの「攻め」、情報システムグループが既存システムの維持・改革といった「守り」の役割を担う。これら2グループの「攻守一体」(前田グループ長)運営でDXを進める。

積水化学工業の前田直昭デジタル変革推進部ビジネスプロセス変革グループグループ長
積水化学工業の前田直昭デジタル変革推進部ビジネスプロセス変革グループグループ長
(撮影:井上 裕康、以下同)
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