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「テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション」。三井不動産は2025年に向けたグループ長期経営方針の中でこんなスローガンを掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)を進めている。IT部門のITイノベーション部を再編し、DX本部を新設してから2021年4月で丸1年。各事業部門の担当者とタッグを組んでオフィスビル、商業施設など多岐にわたる事業のデジタル化に取り組んできた。今回はサテライトオフィス事業についての取り組みを紹介する。

 全国に100カ所以上あるサテライトオフィス。各拠点には個室や会議室などさまざまなワークスペースをそろえる。この環境を利用する会員の利便性と利用度をデジタルで高めていこう――。

 三井不動産はこうしたスタンスで、サテライトオフィスなどを提供する事業「ワークスタイリング」を、DX施策の1つとして進めている。三井不動産はこの事業を通して、全国100拠点以上のサテライトオフィスにデジタル技術を活用した施策を展開。10分単位で利用できる「ワークスタイリングSHARE」や、「1カ月、1席」といった小規模なオフィスとして初期コストをかけずに利用できるサービスオフィス「ワークスタイリングFLEX」などを提供している。

三井不動産のサテライトオフィス「ワークスタイリングSHARE」のエントランス。企業が契約した上で利用する社員を事前登録すると、社員は会員として全国に100拠点以上あるサテライトオフィスを10分単位で利用できる
三井不動産のサテライトオフィス「ワークスタイリングSHARE」のエントランス。企業が契約した上で利用する社員を事前登録すると、社員は会員として全国に100拠点以上あるサテライトオフィスを10分単位で利用できる
(出所:三井不動産)
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 このなかでワークスタイリングSHAREは次のようなサービスだ。企業が三井不動産と契約した上で、専用サイトからその企業でサテライトオフィスを利用する社員などを登録。その企業の社員を会員としてサテライトオフィスを利用できるようにする。会員には専用サイトを通してQRコードを付与。会員は各オフィスの受付でスマートフォンを使ってQRコードを提示し、チェックインすると利用できる。退出時もQRコードでチェックアウトする。料金はオフィスを使った時間に応じた従量課金制だ。

 2021年に入ってからも、ワークスタイリングの事業は進化している。2021年3月までに、「ザ セレスティンホテルズ」「三井ガーデンホテルズ」「sequence」といったグループ会社が運営する全国38のホテルの客室をワークスタイリングSHAREの拠点として利用できるようにしている。

専用システムを開発、QRチェックインや10分単位の利用が可能に

 ワークスタイリング事業はテレワークの形の1つとして、サテライトオフィス勤務に注目が集まりつつあった2017年4月に始めた。三井不動産は開始に先立ってワークスタイリング専用の管理システムを日本ユニシスと共同で開発。「ICカードなど物理カードではなくQRコードでチェックインやチェックアウトができる」「10分単位で利用できる」「利用を始める直前でも個室や会議室を予約できる」といった機能を作り込むことで会員の利便性を高めた。

 三井不動産が管理システムの機能と並んで重視するのが、システムに蓄積された会員の利用状況に関するログ情報だ。専用システムでは会員の利用履歴も把握できるようにしている。「顧客企業の管理者は社員がいつどのサテライトオフィスで働いているかを把握できる。社外で働く社員の労務管理に生かせる」と三井不動産の髙木諒平ビルディング本部ワークスタイル推進部主事は説明する。

 それだけではない。「取得できたログ情報を分析することで、会員がどのようにワークスタイリングを利用しているのかを把握できる。それを基に新しいサービスを提供できた」と髙木主事は話す。