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(写真:加藤 康)
(写真:加藤 康)
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2015年から6年間、東京大学総長として「大学が社会変革を駆動する」ことを標榜し、産学連携など大胆な大学改革を次々と打ち出した五神真氏。新型コロナウイルス感染症の流行や脱炭素(カーボンニュートラル)など社会環境が激変する中、大学はどのような役割を果たすべきなのか。総長を退任したばかりの五神氏に聞いた。(聞き手=久保田 龍之介、中道 理)

新型コロナウイルス感染症の流行や政府が脱炭素を掲げるなど、社会が急速に変化しています。

 新型コロナの流行は、個々の人が他人事を自分事として捉え、行動変容をしない限り、抑止できません。地球温暖化の問題も、個々の活動と社会の活動を関連づけながら、人や企業、国家の行動変容につなげていくことが不可欠です。

 そのためにはデータをリアルタイムで共有・解析し、その結果を参照して行動変容につなげることが極めて重要です。この半年ほどで各国が次々に脱炭素宣言をして潮目が変わる中で、感染抑止や温暖化問題の解決、どちらについても、デジタル革新を活用できるかどうかが問われているのです。

このような変化の中、大学の役割をどのように変えていく必要があると考えていますか?

 大学やアカデミアの役割は、これまで以上に重要になると考えています。リアルタイムのデータ活用には新しい知恵とそれを担う人材が不可欠です。同時に、科学的にデータの信頼性を担保する役割も重要です。データをみんなで活用しようとした場合、そのデータが正しい、または信頼できるデータなのかが極めて重要になってくるからです。

 例えば地球環境問題に関するデータは、それぞれの国や企業が、思惑を持ったデータを流布する可能性があります。中立的な立場で、データを保証する構造を作っていくことが必要になります。このような観点で、大学の役割が質的にも大きくなってきたと考えています。