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 ネット広告の転機が1年後に迫っている。広告配信技術として広く使われている「サードパーティークッキー」を廃止・規制する動きが、2022年半ばにも相次いで始まる。

 目的はネット広告の「浄化」にある。利用者のネット上の行動を基に趣味や嗜好を推測し、ネット広告を出し分ける技術として普及したサードパーティークッキーを巡っては、利用者データの乱用やプライバシー侵害に対する懸念が高まっていた。サードパーティークッキーを制限することで、消費者のプライバシーを保護し、過度なターゲティングを是正する狙いがある。

 影響はネット広告業界にとどまらない。サードパーティークッキーは、様々な業界の企業が消費者データを集めて分析し、マーケティングやコンテンツ配信に利用するうえで重要な役割を果たしてきたからだ。Webで事業を営むあらゆる企業にとって、サードパーティークッキー利用制限の動きは無縁ではないわけだ。

進む「脱・サードパーティークッキー」

 特定ジャンルのネット広告がどのサイトでも表示されると感じたことはないだろうか。それを実現する手法の1つがサードパーティークッキーである。

 ネット閲覧履歴などを収めたデータであるクッキー(Cookie)の1種で、利用者がいま閲覧しているWebサイトとは別のサイト(ドメイン)が発行している。具体的にはEC(電子商取引)サイト事業者や消費財の宣伝用サイトなどが発行している。

 クッキーはWebブラウザーに保存するが、Webサイトにも送られる。利用者がこれまで閲覧したWebサイトの履歴を基に、その利用者に向けた広告を様々なサイトで表示する「ターゲティング広告」には欠かせない技術である。

 サードパーティークッキー見直しの動きはネット広告市場の「浄化」に向けた動きの象徴だ。電通によれば、2020年の国内ネット広告の市場規模は前年比5.9%増の2兆2290億円。2019年にテレビ広告を抜いてなお拡大基調にある。

日本の広告費の推移
日本の広告費の推移
(出所:電通)
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 10年間で市場規模が約3倍に急拡大したネット広告はひずみも顕在化している。消費者のプライバシー保護や取引の透明性向上を求める声が高まっていた。

ネット広告を巡る問題の全体像
ネット広告を巡る問題の全体像
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 サードパーティークッキー廃止に動く1社が米Google(グーグル)だ。2022年初めにも、同社製Webブラウザー「Chrome」においてサードパーティークッキーを発行されても取得しないようにする。