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 2021年3月末までに小中学校の児童・生徒に1人1台の学習用端末を配布するとした政府のGIGAスクール構想。ノートパソコンやタブレット端末を供給する企業は「GIGAスクール特需」に沸いた。

 2021年4月20日、電子情報技術産業協会(JEITA)は2020年度(2020年4月~2021年3月)のノートパソコンの出荷台数が2019年度比56.1%増の1077万台になったと発表した。一方、2020年度のノートパソコンの出荷額は2019年度比13.7%増の7515億円で、1台当たりの平均価格は約6万9000円と前年度比で27%減少した。学習用端末に対する政府の補助金は1台につき4万5000円が上限。補助金の範囲内に収まる製品が売れたためだ。

 2021年4月28日、調査会社のMM総研(東京・港)は2020年1月~12月のタブレット端末の国内出荷台数は前年比31.1%増の969万台だったと発表した。日本でタブレット端末が発売された2010年以降の暦年(1~12月)出荷統計で過去最高となった。同社は「GIGAスクール構想による小中学校向けのタブレット需要の急増が大きい」とする。

 学習用端末のOSは3種類。米Google(グーグル)の「Chrome OS」、米Apple(アップル)の「iPad OS」、米Microsoft(マイクロソフト)の「Windows」である。2021年2月に発表されたMM総研の調査によると、Chrome OSのシェアが43.8%、iPad OSが28.2%、Windowsが28.1%だった。同じ調査によれば、端末メーカー別ではアップルが28.1%でトップシェアだった。

働き方改革と教え方改革は両輪

 「GIGAスクール構想で小中学校向けにWindowsを搭載した端末の出荷台数は300万台前後と把握している。シェアは35~36%程度とみている」と日本マイクロソフトでパブリックセクター事業本部文教営業統括本部の統括本部長を務める中井陽子業務執行役員は話す。MM総研の調査対象は全国1741自治体だが、回答したのは1478自治体であるため、263の自治体が採用した端末に関する数字が入っていないためではないかという意見もある。

 各OSのシェアは混戦模様で、勝敗はなかなか判断しがたい。その混戦模様の中から各社の強みを生かした「新しい学び」へのアプローチの違いが読み取れる。

チャットツール「Teams」を生徒の指導に役立てる
チャットツール「Teams」を生徒の指導に役立てる
(出所:日本マイクロソフト)
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 「教員の働き方と教え方、そして児童・生徒の学び方。この3つはつながっている」と日本マイクロソフトの中井業務執行役員は語る。GIGAスクール構想では教員が使うための学習用端末が補助対象となっていないものの、教員は校務用パソコンを1人1台持っていることが多い。そのOSの大多数はWindowsであるため、多くの教員はWindows搭載端末の使い方に慣れている。

 「教育機関向けの統合型情報共有クラウドサービスであるOffice 365 Educationを提供し始めた2012年当初から、まずは教員が使い始めて職員室での業務にも授業にも活用してもらい、教員から児童・生徒に広げるアプローチを採ってきた」(中井業務執行役員)。