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 「人とデジタル技術を融合することで、あらゆる人が健康で豊かに人生を楽しめるようにしたい」。SOMPOホールディングスの桜田謙悟グループCEO・経済同友会代表幹事は2022年5月23日、日本経済新聞社と日経BPが共催した「デジタル立国ジャパン・フォーラム」の基調講演でこう述べた。

SOMPOホールディングスの桜田謙悟グループCEO・経済同友会代表幹事
SOMPOホールディングスの桜田謙悟グループCEO・経済同友会代表幹事
(写真:北山 宏一)
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 SOMPOホールディングスは現在、リアルデータプラットフォーム(RDP)と呼ぶサービス提供基盤を整備している。保険や介護、製造、物流、輸送などグループ各社やパートナー企業が持つ様々なデータを生かし、社会課題を解決するのが狙いだ。

 桜田グループCEOはRDPの意義について「海外の大手プラットフォーマーが集めているのはネット上のデジタルデータだが、我々が集めているのは、いつ、どこで作られ、誰のものかという出自がはっきりした『リアルデータ』だ」と強調。「我々しか持っていない、保険や介護などに関するリアルデータを生かせば、社会に大きな価値をもたらすことができる」と続けた。

 同社は複数のRDP構築に取り組んでいる。代表例は「介護RDP」だ。介護サービス事業を展開しているグループ会社のSOMPOケアが、2022年度中の提供開始を目指し、開発を進める。

 介護RDPは「見える介護」「匠を仕組みに」「予測する介護」の3つの考えに基づいて作られている。「見える介護」では、これまでは散在していた介護施設に入る前の医療データや、施設に入ってからの健康データ、介護職員に関するデータなどを統合して可視化する。「匠を仕組みに」では、可視化したデータを使い、経験の浅い人でもベテラン介護士のような高品質なサービスを提供できるようにする。

 最後の「予測する介護」では、3カ月先に健康状態が悪化する人を特定し、それを避けるための方法を提案する、といったサービスを考えているという。「食事量や運動量の減少といった具体的な変化が現れる前に予防する。延べ3万人以上の様々なヘルスケアデータを分析したことで、このようなサービスが可能になった」(桜田グループCEO)。現在、アプリの試験運用を進めている最中だ。

 RDPの開発・運営は、ビッグデータ分析を専門とする米Palantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)や産業技術総合研究所など、様々なパートナーと共同で行っている。桜田グループCEOは「プラットフォーム運営とは、エコシステムを作ることと同義だ。1社ではできない取り組みであり、優れたパートナーとの連携が不可欠になる」と話した。