チャットツールで情報共有、電子契約を初導入、採用試験はオンライン、コールセンターでデュアルディスプレーとヘッドセットを活用――。自治体らしからぬデジタル武装を果たしているのが、新潟県の三条市だ。2020年11月に34歳(当時)で就任した滝沢亮市長が旗を振る、DX(デジタルトランスフォーメーション)の実態に迫る。
三条市では職員同士がチャットツールを利用して連絡を取り合ったり、スケジュールを共有したりするのが当たり前の風景となっている。民間企業では当たり前のことかもしれないが、国内の自治体においては珍しい。
滝沢市長は「従来は職員とのやり取りはメールや電話だったが、私が就任してからLINE WORKSを導入してやり取りするようにした」と明かす。これによって、気軽かつ迅速に情報共有ができるようになったという。
脱「紙とハンコ」も推進
紙とハンコからの脱却に向けて、2021年4月には契約書の電子化に踏み切った。三条市が契約する民間事業者との間で、電子契約を導入したのだ。
滝沢市長は「従来は契約書を印刷・押印して郵送でやり取りしていたが、これを電子メールとWebブラウザの操作だけで終えられるようにした。自治体で電子契約を導入したのは全国で初と聞いている」と話す。
2021年4月に三条市が締結した契約850件のうち、まず10件について電子契約を適用した。滝沢市長は「全契約の4分の1ほどを電子契約にしていきたい」と意気込む。事業者からの見積書や請求書についても、PDFをメールで送信するだけで提出できるようにしており、これについても将来的には全体の4分の1を電子化したい意向だという。
新たなデジタル技術の活用を促すため、LINE WORKSの運用ガイドラインや電子契約の事務マニュアル、見積書や請求書の電子提出に関するQ&Aなどの書類を三条市のWebサイトで公開している。「利用者はもちろん、他の自治体の方にも見ていただきたいし、改善のアドバイスもいただきたい」(滝沢市長)。