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官公庁の仕様書に落第の評価

 政府のシステム調達が抱える問題は、単にシステム構築費用がトータルで高くつくことだけではない。電子政府の構築が進む中で、大手ベンダーが受注したシステムであっても機能が不十分だったり、開発のスケジュールが遅れたりといった問題が発生していた。

 こういったシステム開発の失敗の責任は、官公庁のシステム構築体制の貧弱さにもあった。

 当時の経済産業省の調査によると、官公庁のシステム調達の6割前後がNEC、富士通、日立製作所の国産メーカーとNTTおよびそのグループ企業によって落札されていたという。官公庁のシステム部門をよく知るこれらの企業の幹部は「電子政府を推進するのに必要な新規システムのアイデアの提案から、実際のシステム開発のとりまとめまで、官公庁のシステム部門が中心となって進めるのは無理。正式の調達の前から我々が手弁当でお膳立てしていることも多い」と語った。

 官公庁のベンダー依存が進むと、公開入札であってもあらかじめ落札するベンダーを指定したような形になる。いわゆる「1社入札」と呼ばれるもので、実質的に無競争になっている。仕様書に特定ITベンダーのパッケージソフトの名前を明記し、同ソフトを使ったシステム構築経験を落札企業の必須要件とするケースもあった。

 システム構築の問題以外にも、官公庁は重大な問題を抱えていた。官公庁の業務の効率化や官公庁同士の連携という統合的な視点が欠如していたのだ。

 例えば会計システムや経費精算システムなどについて、各省庁が別々にシステムを開発しており、システムを一本化するなどの提案がみられなかった。省庁を横断的にとらえて効率的に実行できる、企業で言うところのCIO(最高情報責任者)相当の責任者が政府には不在だったのだ。