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IT調達改革、始動

 こうした大手ITベンダー依存のシステム調達体制への批判を受け、政府は2003年7月、システム改革の方針「電子政府構築計画」を定めた。

 改革の骨子は、米国連邦政府が用いているシステム構築手法「エンタープライズアーキテクチャー(EA)」を取り入れることだった。EA手法とはシステムを全体最適に向けて改善していくための手法である。この手法で業務とシステムの無駄を改善し、例えば複数省庁で同じ業務を行っている場合には業務を標準化した上でシステムを共通化し、投資の無駄をなくす。

 EA手法を用いて業務改革を進めるための「業務・システム最適化計画(以下、最適化計画)」を作成することで全省庁が合意。電子政府の計画をとりまとめる総務省行政管理局を中心に、各省庁は2003年8月からEA手法を用いて最適化計画を作成する体制を急ピッチで準備した。メインフレーム(基幹業務に使用する大型の汎用コンピューター)など高価なハードウエア/ソフトウエアで構築したレガシーシステムを、UNIXやLinuxのように仕様が公開された安価なオープンシステムに移行させる。さらに、システム開発の範囲や工程を分割し、異なるITベンダーに発注する「分割発注」の推進、重複システムの共通化などで、当時は年間6800億円だったシステム経費を4000億円台に圧縮することを目標に据えた。

 その体制は、2003年末から形になってきた。まずEA手法を進めるための人材「各府省情報化統括責任者(CIO)補佐官」を各省庁が選任。各省庁のCIO補佐官が集まる「CIO補佐官連絡会議」を設置し、省庁をまたがる案件を実務的に討議する場も作った。

 さらに最適化計画のドキュメントの書き方などを示したガイドライン「業務・システム最適化計画策定指針」を定め、全省に配布。そのうえで総務省は、このガイドラインを適用する「人事・給与」、「予算・決算」などの業務またはシステムを選び出し公表した。

 だが当時のIT調達改革は官公庁の調達能力を高めるには全く不十分だったことが、次第に明らかになる。

 (第2回に続く)