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 2018年、経済産業省が「DXレポート」を公開したことで広く認知されるようになった「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、自動車産業においても、各企業で取り組まなければならない経営アジェンダになっている。当社にも自動車メーカーに限らず、自動車部品サプライヤー、自動車流通プレーヤーより、「DX」に関する相談を受ける機会が増えている。

 しかし、「DX」の名のついた取り組みは、クラウドサービスやAI(人工知能)など、“新しい道具”を使った従来業務の課題解決にとどまるケースが少なくない。果たしてそれは本当に“Transformation”と言えるのだろうか?

 “Transformation”を英語辞典で調べると“a complete change”=完全に変わる、と出てくる。経済産業省の「DX推進ガイドライン」における「DX」の定義においても、

  • 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを“変革”すること
  • 上記と共に業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を“変革”し、競争上の優位性を確立すること

と記載されている。すなわち「DX」とは現状業務やビジネスの改善にとどまるデジタル化ではなく、従来のビジネスモデル、業務、働き方など、企業活動そのものを根本から変える“変革”に取り組むことを意味している。

 なぜ自動車産業はこの“変革”に取り組まなければならないのだろうか?そして、どのような“変革”を行わなければならないのか?本連載では、自動車産業を取り巻く環境変化から、各企業が取り組むべき「DX」について論考していきたい。