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自動車業界の提供価値(製品・サービス)へのコネクテッド活用

 製品・サービスの変化に対し、コネクテッドをどう活用するか?その解を導く上でも改めてコネクテッドは手段であることを再認識する必要がある。コネクテッドデータの利活用による最適化を行うためには、その「目的」を明確にする必要がある。

従来のバリューチェーンに関するコネクテッドデータ活用

 従来のバリューチェーンへの活用例として、設計・開発や生産における効率化、品質向上が挙げられる。車両の利用状況をコネクテッドにより取得し、より良い製品を作るためにそのデータを機能・性能・品質面で活用するための最適化といった活用方法である。いち早く製品の機能・性能・品質に関する生の情報をコネクテッドにより取得することで、設計・開発や品質の作り込み期間などの市場投入までの期間短縮が期待される。これはコスト削減につながるため、どちらかと言えば価値提供側にメリットがある活用目的と言えるであろう。最終的にはより良い製品の提供を受けるユーザーにもメリットがあるが、車両機能以外の直接的な恩恵が見えにくいものである。とは言えおろそかにはできない活用方法ではある。

 また、アフターサービスでは消耗品交換やメンテナンスなどに伴う入庫時期をユーザーに伝え、ユーザーの都合に合わせた入庫促進を行う例もある。コネクテッドの特徴を最大限生かしたOTA(Over The Air)によるソフトアップデートにより、わざわざディーラーに出向かなくてもメンテナンスなどのサービスが受けられるという使い方も実現に近い。

 こういったサービスはユーザーの利便性向上にはつながるものの、製品(車両)に重きを置いたサービスとなるため、効果としてはカーメーカーなど供給側のメリットが大きい(図3)。

(出所:デロイト トーマツ コンサルティング)
(出所:デロイト トーマツ コンサルティング)
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新たな提供価値創造に関するコネクテッドデータ活用

 新たな提供価値へのコネクテッドデータの活用例として、ここでは移動を生活の一機能として捉えた場合の例を取り上げたい。

 代表的なサービス例としてMaaS(Mobility as a Service)が挙げられる。ユーザーが目的地までの移動コスト、時間、距離などを自動車に限らず、様々な移動手段と組み合わせた最適な方法をユーザーの目的(コスト、時間、距離など)に合わせて導出するコネクテッドデータ利活用である。

 MaaSの場合、コネクテッドされるデバイスの対象はモビリティー(移動)の範囲だが、コネクテッドの対象をモビリティーからさらに他の生活機能に広げることで、ユーザーが移動する目的に合わせて無数のサービス提供の可能性が広がる。これがコネクテッドデータ活用の真骨頂であろう。

 ここで重要となるのは、ユーザーが何を求めているのかを考える視点であり、コネクテッドという手段により、ユーザーが求める最適解(目的)を考えることが様々なサービス創造につながる。従来のより良い製品(車両)を提供するという考え方から思考を完全にトランスフォーメーションさせなければならない。コネクテッドの世界では車両はネットワークにつながるデバイスの1つと位置付け、移動手段としての車両機能だけでなく、ユーザーの生活全体に視座を高め、ユーザーが求めるもの(サービス)を考えることがコネクテッドによる恩恵を最大限享受するためには必要となる(図4)。

(出所:デロイト トーマツ コンサルティング)
(出所:デロイト トーマツ コンサルティング)
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