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 根っこの部分を理解していれば、複雑な技術であっても仮説を立てることができるようになります。立てた仮説が間違っている場合もあるかもしれません。それでも、やみくもに調べ始めるのと、何かしらの手掛かりが最初にあるのとでは、大きく違います。仮説を手掛かりに中身を調べて、正しい仕組みを知ればよいのです。

 基礎が分かっていれば、何か新しいものが出てきたときに、これはきっとこういう仕組みになっているじゃないかと想像できます。新技術がブラックボックスに思えても「コンピューターの世界に魔法はないんだ」ととらえて、中身を知ろうとする。そのための手助けになるのが基礎なんだと考えて、私はエンジニアをやってきました。『オブジェクト指向でなぜつくるのか』にはそんなふうに考えてきたことを書いたつもりです。

手を動かして身につける

平澤さんは長らくマネジャーの立場で仕事をしてきたそうですね。現場から少し距離を置いた状況で、新技術に対する感度を保つには、どうしたらよいのでしょう。

 私自身が感度を保てているかは分かりませんが、新技術を常に追いかけていこうとはしています。具体的には、「手を動かし続けている」ということでしょうか。

 新しいプログラミング言語や技術がはやりだしたときには、実際に動かしてみて、ある程度分かるところまで自ら試してみる。このくらいのことはいつもやってきました。PHPやRuby、Scalaがはやり始めたときもそうですし、最近ではPythonもそうです。自分がきちんと分かっていない技術についてしゃべったり、顧客に提案したりするようなことは絶対にしたくないと考えてきました。

 本だけ読んで分かった気になる、というのはやったうちに入らないだろう、という気持ちがあります。自ら手を動かしてこそ分かって身につくのだと思います。ですから、オブジェクト指向をちゃんと身につけたい方は『オブジェクト指向でなぜつくるのか』を読んだだけで終わりにしないでください(笑)。