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 新技術が次々と登場するIT業界。ソフトウエア開発者として10年後も活躍するためには、必要なノウハウやスキルをどのように見極め、身につければよいのか。長きにわたって活躍しているIT技術者に自らの経験を明かしてもらった。

 今回は、IT業界で30年以上の経験を持ち、ウルシステムズのソフトウエア開発者兼マネジャーとして活躍してきた平澤章氏に聞いた。平澤氏は長く読み継がれている『オブジェクト指向でなぜつくるのか』(日経BP)の著者でもある。

(聞き手は田島 篤=日経BP コンシューマーメディアユニット)

ウルシステムズの平澤章氏
ウルシステムズの平澤章氏
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IT業界では、新しい技術が頻繁に登場します。当然ながら、長く活用されるものもあれば、消えていってしまうものもあります。それらの見極め方はあるのでしょうか。

 一般論として偉そうなことは言えませんが、1つの例でお話しします。オブジェクト指向は、ソフトウエア開発手法として定着し、長く活用される技術になりました。その一方で、10年ほど前にはやったSOA(サービス指向アーキテクチャー)は定着しませんでした。両者の大きな違いは「コンパイルできる技術だったのかどうか」だと思います。

 SOAの「システム全体を疎結合にする」というコンセプトはとてもよく分かりますし、共感もできます。ただ、これを具現化する技術という点では、ESB(エンタープライズ・サービス・バス)とかWebサービスぐらいしかなかったので、コンセプト倒れに終わってしまったと思います。

 オブジェクト指向は、「モノ中心」という哲学的なコンセプトがある一方で、コンパイルして動かせるプログラミング言語があります。上流工程のモデリングやデザインパターン、フレームワーク、反復型開発などの周辺技術もあります。「モノ中心」というコンセプトだけならバズワードで終わったと思いますが、コンパイルできる技術が中心にあったので、主流技術として生き残れたのだと思います。