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国内外50カ所の宿泊施設を運営する星野リゾート。2021年4月には中国大陸への初進出となる施設を開業するなど、海外展開を積極化している。業界きっての改革派として知られる星野佳路代表は事業の拡大と並行し、裏では着々と強いIT組織づくりを進めてきた。システム開発の内製に大きく舵(かじ)を切った星野代表の覚悟を聞いた。

(聞き手は鈴木 慶太=日経クロステック/日経コンピュータ)

星野 佳路(ほしの・よしはる)氏
星野 佳路(ほしの・よしはる)氏
1960年長野県軽井沢町生まれ。1983年慶応義塾大学卒業。米国コーネル大学ホテル経営大学院修士課程修了。1991年星野温泉(現在の星野リゾート)社長に就任。所有と運営を一体とする日本の観光産業でいち早く運営特化戦略をとり、運営サービスを提供するビジネスモデルへ転換。ホテル業界きっての改革派として知られる(出所:星野リゾート)
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新型コロナウイルスでリゾート業界は厳しい状況が続いています。

 国内の感染者数と施設の予約状況をデータで見ていますが、感染者数が落ち切れていないのでどうしても予約数が戻ってくるペースが遅い状況が続いています。地域によってすごく格差があり、観光地、特に温泉旅館関係の業績はそれほど悪くないですが、都市にあるホテルの稼働率は低い状況です。

 ただ、ワクチンの接種が進めば感染者数は落ちつき、いずれ旅行需要は上がってくるでしょう。重症化している人の多くが65歳以上の高齢者ですから、まず65歳以上の接種が完了すれば多少問題は軽減してくるのでないでしょうか。夏ごろから徐々に旅行需要が戻ってくることを期待しています。

星野リゾートの特徴である「フラットな組織」とは。

 組織図のことではなくて、フラットな組織文化をつくるということです。組織図はレイヤーがいくつあっても構いませんが、人間関係をフラットにしていくことを会社としてすごく重視しています。

 そのために互いを役職ではなく「久本さん」「藤井さん」とか名前で呼び合うようにして、「偉い人信号」をなくすようにしています。これは経営学者ケン・ブランチャード氏の理論で、その通りにやっていくのはすごく重要だと思っています。

 例えば私には専用の部屋がなくて、デスクもない。そういったところも含め、人間関係をフラットにしてくために偉い人信号をなくすように努めています。総支配人なんかをポジションで呼ぶのは禁止していて、みんな現場では名前で呼び合っています。互いに協力しやすい関係性が生まれますのでIT戦略の面でもフラットな組織は有効でしょう。