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 IT人材の雇用・人事制度にジョブ型を取り入れる動きは、ITサービス企業のほかユーザー企業にも広がっている。KDDIやKADOKAWAのIT子会社もかじを切った。管理職から一般社員、そして新卒社員へと、社員が自分で仕事を選ぶ時代が近づいている。

 ITサービス企業だけでなく、自社のIT部門を対象にジョブ型雇用に近い人事制度を取り入れるユーザー企業も増えている。

 KDDIは2020年8月、働いた時間ではなく社員の成果や挑戦および能力を評価して職務に反映することを目的に、ジョブ型を主体とした新たな人事制度を導入した。まず2020年8月に入社した中途社員と2021年4月の新卒社員は入社時から、ラインを率いるリーダーとエキスパートとして専門性が認められた管理職には2021年4月から適用。一般社員への導入は労働組合との協議を進めており、早ければ2022年4月にも移行する見通しだ。

KDDI、2週間ごとの1on1を推奨

 同社の新制度では、30の専門領域に5段階(一般社員に当たる「基幹職」が2段階、管理職に当たる「経営基幹職」は3段階)のジョブグレードを設定。各領域のそれぞれのグレードに対してJDに当たる職務を定義した。KDDIの白岩徹執行役員コーポレート統括本部人事本部長は「各領域を統括する本部長や副本部長クラスの人間が『領域責任者』に就任し、人事部と意見交換しながら策定を進めた」と説明する。

 人事評価については、職能や年次による評価をなくし、成果に比重を置きつつ挑戦の行動や意欲、専門性などを評価対象とする。上司だけでなく、周囲の評価も参考にする「360度評価」も新たに取り入れた。

 目標設定や評価の進め方も見直した。期初に目標管理シートを書いて半年ごとに成果を振り返る従来のやり方に代えて、上司と部下による1on1ミーティングを頻繁に実施。成果をきめ細かく確認したり目標を柔軟に変更したりできるようにした。ビジネス環境がめまぐるしく変わる中、期初に立てた目標が半年後に的外れになっているケースが少なくないからだ。「2週間ごとの1on1ミーティングを推奨している」(白岩執行役員)。部下が多い上位の管理職の負荷を考慮して、1on1実施の権限を下位の管理職に移譲できる仕組みなども用意した。

 近年は異業種からの専門人材を積極的に受け入れている。2021年度は4月の新入社員が266人だったのに対して中途採用は190人を計画している。

 新卒採用についても、応募者が入社時点から自身のスキルや専門分野を生かせる分野で働けるジョブ型制度を設けている。2020年度の入社者から開始した「WILLコース」だ。

KDDIが導入したジョブ型の新卒採用制度「WILLコース」の概要
KDDIが導入したジョブ型の新卒採用制度「WILLコース」の概要
(出所:KDDIの資料を基に日経コンピュータ作成)
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 インフラエンジニアやアプリケーション、データサイエンスといった技術系の7職種、パートナーマネジメント(代理店営業)やビジネス・インキュベーション(新規事業、サービスの企画・推進)といった業務系の5職種の中から、本人の専門性を踏まえて内定段階で初期配属の職種を確約する。2021年4月の新入社員は4割がWILLコースだった。2022年度は5割に増やす考えだ。