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 この記事は、Relicホールディングス 代表取締役CEO/Founderの北嶋 貴朗を一部編集した日経ビジネスXのコラム「VUCA時代を生き抜くための新規事業開発マネジメント」にて2022年6月20日に掲載されたものを日経クロステックに転載しています。VUCA(Volatility=変動性・Uncertainty=不確実性・Complexity=複雑性・Ambiguity=曖昧性)時代と呼ばれる現在において、いかにして新たな産業や市場を創出するか。経営者だけでなく、ビジネスパーソン個人にも問われています。

 前回までに、新規事業開発の方針や戦略を描くまでに必要な、ビジョンの策定やその意義付け、リソースの確保などのステップを書きました。

 次はいよいよ具体的に新規事業開発に向けた検討を進めていきます。まず着手すべきは、自社が取り組む新規事業のテーマや領域を定義し、検討する際の決め方や考え方を整理することです。

 よく「何でもよいので自由にアイデアを発想してほしい」「既存の枠組みや制約にとらわれずに挑戦してほしい」というような号令がかかることが多いのですが、残念ながらこのような取り組みから優れた新規事業が生まれた事例はほとんどありません。人間というのは、制約や条件が何もないと逆にアイデアが出にくくなり、仮にアイデアが出てもそこから良いものに絞り込んだり、優先順位をつけたりすることが難しくなってしまうものです。

 例えば、社内からアイデアや事業プランを公募して新規事業創出プログラムを運営する企業なら、その応募要件に具体的なテーマや事業領域、活用する資産や技術などの一定の制約や条件をつけるだけで、例年よりも応募されるアイデアの質や量が向上することが多いのがその証左です。

外部環境の変化を捉え、自社の経営資源を正しく把握する

 では、具体的に自社が取り組む新規事業のテーマや領域を定義する際には、どのような論点に着目して進めればよいのでしょうか。

 まず、マクロの外部環境や産業・業界の環境分析と、自社の保有する経営資源=アセットの棚卸しなどは不可欠です。不確実性の高い時代には未来予測の精度や価値自体が下がりつつありますが、それでも新規事業を成功に導くための方針や戦略を策定するためには必須事項と認識してください。

 分析は期限を決めて、その中で可能な限りの分析をつくした上で、自社が取り組む新規事業のテーマや領域を検討していきます。その際には、次ページの図表のようなマトリクスを作成して検討するのが有効です。