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 この記事は宮崎真氏による日経ビジネスXのコラム「元日経記者がパリでAIエンジニアになってみて」にて2021年9月10日に掲載されたものを日経クロステックに転載しています。フランスで受けたAI教育、関連業界への就職事情、日本との違いなどをリポートします。

 こんにちは。パリ在住で、フランス発の機械学習プラットフォーム、Dataiku(データイク)という会社で欧州企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援している宮崎真と申します。日本でオンラインを中心にAI(人工知能)など先端技術の教育を展開するzero to one(仙台市)のリサーチ担当もしています。

 前回はAIに関連する3つの人材のうち、エンジニアとビジネスの両方を見ることのできる人材がカギであることをお伝えしました。

 今回は、この人材を育成するために日本がとるべきアクションについて書きたいと思います。ポイントはオンラインの教育プログラムをより充実させること、そして企業と連携してインターンシップの制度づくりをすること、です。コロナウイルスのパンデミックで教育のオンライン化の重要性はこれまで以上に増しています。

 まず前回で、AI関連で不足する3つの人材として以下の3つを挙げました。

1.AI研究者
2.AIエンジニア
3.AIエンジニアかつビジネスも分かる人

 このうち、不足しているのが2の「AIエンジニア」と3の「AIエンジニアかつビジネスも分かる人」で、特に後者の人材が今後は重要になる、という点に触れました。

 今回は「AIエンジニアかつビジネスも分かる人」を育成するために必要な施策について書きたいと思います。1~3のなかで最も教育するのが厄介な人材です。それはビジネスの実践的な経験と組み合わせて人材育成をしなくてはならないからです。

 こうした人材を育成するには2つのアプローチがあります。

A. 大学に通うか、オンライン教材などを使って、ビジネス経験のある人がAIの技術的なスキルおよびビジネスへの応用の仕方を学ぶ

B. AIエンジニアがビジネスの諸部門(経営企画など)で働くことを経験する(ビジネススクールに通う人もいる)

 AIエンジニアそのものが不足している今、実現可能性がより高いのはBよりもAでしょう。私がとったアプローチもAです。