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 この記事は宮崎真氏による日経ビジネス電子版のコラム「元日経記者がパリでAIエンジニアになってみて」にて2021年9月24日に掲載されたものを日経クロステックに転載しています。フランスで受けたAI教育、関連業界への就職事情、日本との違いなどをリポートします。

 こんにちは。フランス発の機械学習プラットフォーム、Dataiku(データイク)という会社で欧州企業のデジタルトランスフォーメーションを支援している宮崎です。日本でAI(人工知能)など先端技術の教育を展開するzero to one(仙台市)のリサーチ担当もしています。

 連載も4回目となりました。今回はこんなエピソードから始めたいと思います。

 フランスの大学で一緒に勉強していた友人らとバーで盛り上がっていたとき、1人がこんなことを言いました。

友人「機械学習とAIの違いは何だと思う?」

私「おいおい、今さら何だよ。俺らデータサイエンス勉強してるんだぜ。機械学習ってのは大量のデータの中からパターンを見つけて、将来を予測するための……」

友人「違うな、お前は全く分かってない。もっと簡単に見分ける方法があるだろ?」

友人「いいか、機械学習ってのはPythonで書かれているんだ。それに対して、AIは何で書かれていると思う?……パワポさ」

 これにはみんなで大笑いしたのですが、冗談はさておき、これは本当に現実でも当てはまることです。

AIには「汎用AI」と「特化型AI」の2種類

 ニュースなどの様々なメディアでよく使われるようになってきたAI、機械学習、ディープラーニングなどの言葉。これらは定義がよく理解されないまま誤った使われ方をしている例が多いです(かくいう私もジャーナリスト時代はきちんと理解しないままこれらの言葉を乱用していた側の人間です)。

 企業が出す募集要項や、起業家が投資家に向けてするプレゼンでも、やたらとこうしたバズワードが使われています。よく実態を分からないまま、とりあえずパワポで書いたプレゼン資料に「AI」という言葉をちりばめておけば「おー、なんかすごいことやってるなコイツ!」となるのです。

 私がフランスで受けていたentrepreneurshipの授業では、起業アイデアの実現や投資家へのプレゼンの仕方を学んでいました。そこでは投資家に向けたプレゼン資料には「AIやディープラーニングみたいなバズワードは絶対入れるな」と教わりました。なぜなら目の肥えた投資家ならすぐにそうした言葉の薄さに気づき、好印象を持たないからです。

 こうした誤用・乱用は、AIやディープラーニングといった言葉を真面目に扱っている人たちやそれらを冠した商品・サービスへの信用を下げることにつながります。正しい知識を身に付け、本当に必要なときだけ使うべきですね。

 前置きが長くなりましたが、本稿ではAIと機械学習、ディープラーニングの違いについて簡単に説明してみようと思います。