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フランスKnowMade(ノーメイド)*1は、特許と科学的情報の分析に特化した調査/コンサルティング会社である。各国の特許出願内容や取得特許から巨視的な特許傾向であるパテントランドスケープ(特許景観)を導き、競争環境と技術開発内容を理解することを得意とする。本コラムでは、同社が手掛ける調査の中から旬な技術の話題をお届けする。今回のテーマは、SiCウエハー供給企業としての動きを活発化させている昭和電工の特許である*2。(日経クロステック)
*1 KnowMadeのWebサイト
https://www.knowmade.com/

 2021年第2四半期にフランスの市場調査会社Yole Développement(ヨールデベロップメント)が発表した最新の予測によると、シリコンカーバイド(SiC)デバイス市場の売上金額は21年に初めて10億米ドルを超える。さらに今後数年間で急速に増加し2026年には40億米ドル以上に達すると推定される。

 一方、SiCパワーデバイスの需要の急速な高まりは、伊仏合弁のSTMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)、ローム、ドイツInfineon Technologies(インフィニオン テクノロジーズ)などの主要SiCデバイスメーカーにとって、SiCウエハー不足のリスクを高めている。この問題に対処するため、SiCデバイスメーカーは、ウエハーのサプライヤーの多様化と拡大化を図っている。例えば、09年にロームはドイツの大手SiC基板メーカーSiCrystalを買収した。また、19年には韓国SK Siltron(SKシルトロン)が米DuPont(デュポン)のSiCウエハー部門の買収、STマイクロエレクトロニクスによるスウェーデンNorstel (ノルステル)の買収が行われた。さらに、Yoleによれば、SiCデバイスメーカーとウエハーメーカーの間での、複数年にわたる供給契約なども締結されている。特に19年にSiC基板の市場シェアが60%を超えた米Cree/Wolfspeed (クリー/ウルフスピード)の動きが激しい。同様に、米II-VI(ツーシックス)、SiCrystal/ロームなどSiC基板メーカーも大手デバイスメーカーとの新たな供給契約を結び、継続的に生産を増やす投資計画を立てている。最新の例では、21年5月に昭和電工がInfineonとSiCウエハーに関して2年間の供給契約を発表した。

 KnowMade(ノーメイド)はこのニュースに着目し、昭和電工のSiC基板(バルク&エピタキシャルウエハー)特許ランドスケープを調べることにした。昭和電工は、SiC基板特許の中で住友電気工業に次ぐ、2番目に大きいIPポートフォリオを持ち、300以上の特許ファミリー注1)を所有している(図1)。

注1)特許ファミリーは、複数の国で提出された単一の発明を表す。
図1 SiC基板の特許ランドスケープにおける主要特許譲受人
図1 SiC基板の特許ランドスケープにおける主要特許譲受人
(図:KnowMade)
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