2019年度の改正では、各選択科目の出題の範囲や内容も見直されました。多くが「施工および維持管理」も出題内容として明示しており、「山留め」や「複合構造」、「建設ICT」、「総合的な土砂管理」といった分野やテーマが加わった科目もあります。
これらは以前も問われたことがあり、19年度や20年度の出題範囲も従来と大きく変わりませんでしたが、20年度は19年度に続いて複合構造が取り上げられたほか、総合的な土砂管理について問われるなど、新たに明示された範囲や項目から出題されています。21年度も出題テーマになる可能性がありますので、改正された箇所をチェックしておいてください。下の表は、13年度から20年度までの8年間に出題された各科目の代表的な分野やキーワードなどをまとめたものです。次ページには、17~20年度に出題されたテーマやキーワードを問題の種類ごとに整理しました。
過去の出題テーマと時流を把握
選択科目に関する「専門知識と応用能力」を問う論文のうち、「専門知識」が対象のII-1では時事的なテーマがよく取り上げられています。例えば20年度は、防災・減災の分野から全11科目のうちの4科目が、維持管理・更新からも4科目がそれぞれ出題しています。これらは21年度のII-2やIIIに加え、必須科目でも重要な分野です。
もう一つの「応用能力」が対象のII-2でも、時流や最近の施策を踏まえたテーマが少なくありません。20年度は防災・減災の分野から4科目が出題したほか、DX(デジタルトランスフォーメーション)やデジタル技術について問う科目も見られました。
受験者の昨今の実務や最近の施策を踏まえた内容が多くを占めており、例えば変状への対策や近接施工、耐震性の向上、水害や土砂災害の防止、建設発生土の処理、環境影響評価といった以前に取り上げられたテーマを中心に、災害時の警戒避難体制の整備や重要物流道路などの時事性の高いテーマを交えて問われています。21年度も出題傾向に大きな変化はないとみられることから、まずは過去の出題内容を確認しておきましょう。自身の専門分野の設問には確実に答えられるように備えたうえで、頻出している防災・減災や維持管理などの最近の施策も押さえるようにしてください。