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 日本のデータセンターの消費電力効率は、過去20年間で大きく向上した。かつてはサーバーなどIT機器よりも空調装置や変圧器などの方が多くの電力を消費していたが、そうした無駄は限界近くまで小さくなった。最新のデータセンターにおける省エネルギーの取り組みを、NTTデータが2018年4月に稼働した「三鷹データセンターEAST」を例に解説しよう。

NTTデータの三鷹データセンターEAST外観写真
NTTデータの三鷹データセンターEAST外観写真
出所:NTTデータ、撮影:ナカサアンドパートナーズ
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 三鷹データセンターEASTは延べ床面積が約3万8000平方メートル、最大受電容量は4万kVA(キロボルトアンペア)で、最大約5600ラックを収容できる大型データセンターだ。データセンターの消費電力効率を示す指標であるPUE(電力使用率、Power Usage Effectiveness)は設計値で「1.3」で、実測値でも「1.35〜1.4」と良い水準にある。

 PUEはデータセンター全体の消費電力をIT機器の消費電力で割った値で、空調装置などIT機器以外の消費電力が少なければ少ないほど、PUEの値は小さくなる。理論上の最小値は1だ。2000年代まで日本のデータセンターはPUEが2以上、サーバーなどIT機器よりも空調装置などの方が多くの電力を消費するケースが少なくなかった。そういった過去のデータセンターと比べると、三鷹データセンターEASTの消費電力効率は大きく改善されている。

外気冷却で消費電力削減

 三鷹データセンターEASTの消費電力効率改善に大きく寄与したのが、サーバーの冷却に関する消費電力の削減だ。最近のデータセンターにおいて常識となっている省エネ対策を手堅く積み重ねただけでなく、東京都内のデータセンターでは珍しい外気を使った冷却などを活用する。詳しく見てみよう。

 同データセンターのサーバールーム壁面には、通風口が設けられている。この通風口の外側に水冷式の空調機があり、冷気がサーバールームに流れ込む。いわゆる「壁吹き空調方式」だ。

三鷹データセンターEASTのサーバールーム
三鷹データセンターEASTのサーバールーム
出所:NTTデータ、撮影:ナカサアンドパートナーズ
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 サーバールームの内部は空調機から吹き出した冷気を流す「コールドアイル」と、サーバーの熱を取り込んだ暖気を排出する「ホットアイル」に分割されている。冷気と暖気が混じり合わないようにしており、効率的にサーバーを冷却できる。

アイルキャッピングされたサーバーラックの上部
アイルキャッピングされたサーバーラックの上部
撮影:日経クロステック
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 サーバールーム壁面にある水冷式空調機は、水が循環する配管(パイプ)に風を吹きかけて冷気を作る仕組みだ。暖まった配管の水はデータセンターの屋上にある空冷モジュールチラーという装置で再冷却し、ポンプでサーバールームの空調機へと循環させる。一般にデータセンターにおいては、チラーが非常に大きな電力を消費する。そこで三鷹データセンターEASTでは、チラーを稼働しなくてもサーバーを冷却できるよう、外気冷却方式を活用している。

 外気冷却方式とはその名の通り、外の空気をサーバールームに取り込むことでサーバーなどを冷却する仕組みだ。外気冷却方式はさくらインターネットが2011年に北海道石狩市に開設した「石狩データセンター」や、IDCフロンティアが2012年に福島県白河市に開設した「白河データセンター」など冷涼な場所における取り組みが有名だが、最近は東京都内でも外気冷却方式を採用するケースが増えている。