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 石狩市は、札幌市中心部から15キロメートルほどの場所にある石狩湾新港地域の中に、電力需要の100%を再生エネでまかなうことを目指す「REゾーン」を設ける。そのために同市は北海道電力と2019年6月、再生エネ発電事業などの地域連携協定を結んだ。

 石狩湾新港地域やその周辺には、風力発電事業を手がけるグリーンパワーインベストメント(GPI)の洋上風力発電事業エリアがあるほか、GPIが大型蓄電池施設を建設する予定だ。大型蓄電池は、発電量に変動のある再生エネのバッファーとして欠かせない。

 京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は2019年4月に、北海道や石狩市と連携して再生エネ100%で稼働するデータセンターである「ゼロエミッション・データセンター」のプロジェクトを始めた。その立地がこのREゾーンだ。KCCSのデータセンターは300ラックを収容可能で、2メガ(M)~3Mワット(W)消費する。KCCSは太陽光で2MW、風力で2MWの自前の電源リソースを建設して電力をまかなう。

 KCCSは自営の再生エネ電源を使用するが、石狩市企画経済部の堂屋敷誠企業連携推進課長は「今後2~3年をめどに数十MWの再生エネを供給できる仕組みを作る」と語る。データセンター事業者は自前で電源を建設しなくても済むようになる見通しだ。安定的にエリア内に再エネを供給するため、サブステーション(変電所)の設置を送配電事業者と検討している。

国内最大級の再生エネデータセンター地域を目指す

 「REゾーンは国内最大の再エネデータセンターエリアになるだろう」と石狩市の堂屋敷課長は意気込む。データセンター用の敷地面積は25ヘクタールほど用意できるという。データセンターが集積した場合、全体で800MWほどを消費する規模感だ。「長期的には3.6ギガワット(GW)の膨大な再生エネ供給能力がある」(堂屋敷課長)。環境省が調査して公開する「再生可能エネルギー導入ポテンシャル情報」をもとに算出した。

 石狩市は2010年代初めから石狩湾新港地域へのデータセンター誘致に取り組んでおり、さくらインターネットの「石狩データセンター」も同地に2011年から稼働中だ。当初は石狩市の冷涼な気候がデータセンターの省エネに役立つとされていた。しかし本特集第2回でも取り上げたように、現在は東京都内でもデータセンターの外気冷却が年間を通じて可能になりつつある。省エネを石狩市の優位性として打ち出すのは難しくなった。

 今度こそ石狩市は「データセンター銀座」になるのか。その鍵は再生エネ調達が握っている。