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クルマの電動化は加速

 実際、トヨタ自動車は21年4月22日、水素エンジンの開発に取り組むと発表した(図2)。水素エンジンについては、大型の商用車への展開も模索していく。カーボンニュートラル燃料については「米国やブラジルで既に実用化されており、HEVと組み合わせられる」(同社執行役員Chief Technology Officerの前田昌彦氏)。

図2 トヨタが開発中の水素エンジンのイメージ
図2 トヨタが開発中の水素エンジンのイメージ
水素エンジンはFCVと同様に原理的にはCO2を排出しない。一方でFCVと異なり既存のエンジンの延長線上にあり、 FCVに比べて安価にできる可能性がある。(出所:トヨタ自動車)
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 とはいえ自動車メーカー各社はEVやHEV、PHEV、FCVといった電動車の比率を高めていく。具体的には、トヨタ自動車は30年の電動車比率を日本で95%、北米で70%、欧州で100%に高め、世界で販売する電動車を800万台に増やす*1。日産自動車も、30年代早期から日本、中国、米国、欧州に投入する新型車をすべて電動車両にする計画だ*2

*1 800万台のうちEVとFCVを200万台にする。
*2 日産の電動パワートレーンの柱はEVとハイブリッドシステム「e-POWER」。

 ホンダは21年4月23日、同社社長の三部敏宏氏が挑戦的な電動化計画を明かした。40年に世界市場で販売する全車両を電動車両(EVとFCV)にするというものだ*3。今後6年間で、5兆円の研究開発費を投じる計画である*4

*3 ホンダはこれまで、30年に世界で販売する車両の3分の2を電動車両にする計画を打ち出していた。その内訳はHEVとPHEVが50%、EVとFCVが15%である。
*4 5兆円の研究開発費には、二輪車の電動化や燃料電池(FC)システムの用途拡大、交通事故の死者ゼロを目指した全方位ADAS(先進運転支援システム)の開発なども含まれるが、四輪車の電動化が多くを占める。

 ただし、カーボンニュートラルを達成するためには、自動車の使用時に加えて、原材料の採掘と生産、車両の製造、輸送、充電・給油、使用済み車両のリサイクルと再利用など幅広い領域(ライフサイクル全体)でCO2排出量を実質ゼロにしなくてはならない。パワートレーンに関してはHEV、PHEV、EV、FCVといった電動車に加え、水素エンジンやカーボンニュートラル燃料など、幅広い技術が必要となる。

 例えば日産は50年までに事業活動を含む自動車のライフサイクル全体におけるカーボンニュートラルの実現を目標とする。生産段階でのCO2削減では、次世代の車両生産コンセプト「ニッサンインテリジェントファクトリー」をはじめとする、車両組み立て時の生産効率を向上させる取り組みを推進する。生産時に使用するエネルギーと材料の選択も見直す。