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 「日本の自動車産業が持つ高効率エンジンとモーターの複合技術に、新しいカーボンニュートラル燃料を組み合わせれば、保有車も含めた大幅な二酸化炭素(CO2)の削減が可能になる」。日本自動車工業会(JAMA)会長の豊田章男氏(トヨタ自動車社長)は2021年4月22日の定例会見でこう述べた(図1)。

図1 JAMAの定例会見での豊田章男氏
図1 JAMAの定例会見での豊田章男氏
2021年4月22日の定例会見でカーボンニュートラル燃料の重要性を強調した。(出所:JAMA)
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新燃料でカーボンニュートラル実現

 JAMAは炭素中立に全力で取り組むことを繰り返し表明しており、21年3月の定例会見ではエネルギー政策とセットで議論する必要があると指摘していた。今回は水素から作る「e燃料(e-Fuel)」やバイオ燃料など、カーボンニュートラル燃料の重要性を強調した内容だった。「カーボンニュートラル燃料を使えば、エンジン車はハイブリッド車(HEV)並みに、HEVはプラグインハイブリッド車(PHEV)並みに、PHEVは電気自動車(EV)並みになる。新車だけでなく、保有車を含む全ての車両でCO2を減らせる。船舶や航空機など、自動車以外の産業にも応用できる」(豊田氏)という。

 「今、日本では新車の電動化率が世界第2位の約35%だが、保有車約8000万台については電動化率が1割弱にとどまる。その中でゼロエミッション車であるEVや燃料電池車(FCV)の比率はさらに低く、ごくわずかだ。車両の保有期間が長期化していく中で、保有車に対しても手を打たなければ、日本はカーボンニュートラルを達成できない」(同氏)と述べる。

 海外がEVシフトを打ち出す中で日本の自動車産業が取り残されてしまうのではないかといった指摘については、「EVの販売促進とか、FCVの推進とか、そういうことではなく、あくまでカーボンニュートラルがゴールだ。ガソリン車やディーゼル車を禁止するような政策は、その選択肢を自ら狭め、日本の強みを失いかねない。新車やエンジン車だけに軸足を置いた環境規制で選択肢を狭めるのではなく、技術の選択肢を広げていくことの方が先だ。順番を間違えてはいけない」(同氏)と指摘した。