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2035年までにカーボンニュートラルを目指すデンソー。自動車部品の熱効率向上、排出ガスの後処理などで培ってきた技術力を結集し、新分野を開拓し事業の柱に据えることも目指している。21年1月1日には環境ニュートラルシステム開発部を新設し、活動を加速させている。同社執行幹部環境ニュートラルシステム開発部長の石塚康治氏に環境戦略を聞いた。(聞き手は野々村 洸=日経クロステック/日経エレクトロニクス)

石塚康治氏
石塚康治氏
デンソー 執行幹部 環境ニュートラルシステム開発部長(写真:吉田伸毅)
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 デンソーでは2021年1月1日に「環境ニュートラルシステム開発部」を新設しました。内燃機関や熱マネジメント、電動化などで環境技術を扱っていた人間を集めた組織で、主に技術的な環境戦略を検討します。

 今までの延長線上でものづくりの改善活動を続けても、20年末に発表した「35年までにカーボンニュートラルを実現」という目標を達成できるか分かりません。また環境負荷を抑制していくためには個々の技術が大切である一方で、その技術を利用するものづくり現場との連携を深めていくことも重要です。そこで環境ニュートラルシステム開発部は、技術の適材適所を見極め、ものづくり現場との橋渡しを支えていく役割を担います。

工場には電化できない設備もある

 一例として工場の生産設備での再生可能エネルギー活用があります。当社もカーボンニュートラルを進めていくため、再生可能エネルギーの購入を増やし、購入した再生可能エネルギーを利用しやすい設備の電化などを検討しています。

 例えば、工場内には素材や部品を加熱する「炉」があり、現在は主に燃料を燃焼させているため二酸化炭素(CO2)の発生源となっています。低炭素化を図るために電気炉へと切り替えればいいのかと言えば、そう簡単な話ではありません。電気炉は設置スペースを必要としますし、製造する製品の品質などに影響を与える可能性もあるからです。

 工場内のどの設備を電化するのかを見極める必要があります。電化しないのであれば、どうやってCO2排出を抑えられるかも考えなくてはなりません。このようにカーボンニュートラルをどう進めていくべきかをマネジメントするのが仕事なわけです。

 炉で発生するCO2への対応策として、当社は「CO2循環プラント」の開発に取り組んでいます。このプラントは炉の排出ガスからCO2を回収してエネルギー源や他の物質などへ変換することを狙った設備です。まだ開発中の技術ではありますが、CO2がどうしても発生する工程に導入していくつもりです。

 CO2循環プラントなどの技術は社会に広めていきたいと私たちは考えています。技術とものづくり現場をつなぐだけでなく、自社の枠を超えて技術と社会をつないで、カーボンニュートラルの推進に貢献していきます。