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「世界中で気候変動への意識が高まっており、『電動化』は将来の事業のキーになる」と語る小川氏。事業活動におけるCO2排出量を削減するとともに、いずれ立ち上がる市場に備えて、さまざまな電動建機の開発・実用化を着々と進めている。(聞き手は吉田 勝、高市清治、構成は小林由美=facet)

小川啓之氏
小川啓之氏
コマツ代表取締役社長(兼)CEO(出所:コマツ)
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 コマツは、2022年3月期までの中期経営計画において、「本業を通じたESG(環境・社会・ガバナンス)課題解決」を経営目標として掲げており、ESG課題の解決と収益向上の好循環による持続的な成長を目指しています。その取り組みの1つに環境負荷低減があります。

 具体的には30年までに二酸化炭素(CO2)排出量を10年比で50%削減するという目標を掲げています*1。再生可能エネルギー(再エネ)の使用率についても30年までに50%にまで引き上げます。これらはいわば必達目標です。

*1 単年度の建設鉱山機械販売および顧客現場でのCO2削減効果とする。

CO2削減施策は順調に進捗

 CO2削減のターゲットとしては、サプライチェーン排出量*2におけるScope1の「燃料の燃焼」とScope2の「電気の使用」だけでなく、Scope3の「製品の使用」にもフォーカスしています。当社の建設機械(建機)・鉱山機械においては、調達から生産、販売、製品使用、廃棄というライフサイクルの中で、生産工程におけるCO2排出量は約10%にすぎません。一方、製品使用フェーズでのCO2排出量は全体の約90%を占めており圧倒的に多いのです。

*2 サプライチェーン排出量
原材料調達から製造、物流、販売、廃棄まであらゆる事業活動に関係して出される温暖化ガスの総排出量のこと。Scope1は燃料の燃焼などの事業者自らによる直接排出を、Scope2は、他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出を指す。Scope1、2以外の間接排出がScope3で、製品の使用や廃棄、原材料、物流、人の移動など多岐にわたる。

 その製品使用時のCO2削減目標については、これまでもモデルチェンジによる改良やハイブリッド建機導入による燃費向上、機械稼働管理システム「KOMTRAX」を用いた低燃費運転の提案、ICT建機や建設生産プロセス全体をつなぐプラットフォームを活用したスマートコンストラクションによる顧客の施工最適化などに取り組んできました。

 その結果、順調に削減が進んでいます。20年度実績では、製品の使用に関するCO2排出量の削減は14%減(10年比、以下同)を達成しました。さらに30年までには、燃費改善、製品改善で25~30%、製品の電動化や自動化による効率改善で10~15%、残りは顧客の施工最適化などのソリューション改善で5~15%と、トータル50%のCO2削減ができると見込んでいます。