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100%再エネ化、国を挙げて挑む必要

 生産工程でのCO2排出量については、生産性向上や省エネ、再エネの利用などが基本的対策となります。例えば、粟津工場(石川県小松市)ではICTの活用による自動化や省力化による電力使用量の削減と併せ、14年からバイオマス蒸気ボイラーシステムや太陽光発電設備を導入し、「創エネ」によって購入電力量を削減してきました。茨城工場(茨城県ひたちなか市)でも20年からバイオマス蒸気ボイラーシステムを導入しています。

 再エネ利用で先行するのは海外工場で、既に欧州では5拠点、米国でも4拠点が電力の100%を再エネで賄っています*4

*4 欧州では、英国コマツ、コマツドイツの建機部門とマイニング部門、コマツイタリア製造、コマツフォレストABが、米国では、コマツアメリカのチャタヌガ工場とピオリア工場、ニューベリー工場、ヘンズレー・インダストリーズが100%再エネ化を実現している。

 欧米では100%再エネ化する動きが広がっていますが、日本では国としての取り組みが遅れており、購入コストも割高です。国内拠点で100%再エネ化を推進するには、国としてもっと再エネ利用を広げていく必要があるでしょう。生産性向上と省エネ、創エネを自力で進め、最後にクリーンエネルギーを調達するという優先順位で進めています。

市場が立ち上がってからでは遅い

 カーボンニュートラルは、製品そのものの改善・改良だけで実現するものではありません。製品やサービス、ソリューションの提供により、それを利用する顧客や社会の環境問題に貢献した成果も目標に含めています。ただし、世界中にいるコマツの顧客の今後の需要は、企業や地域によってそれぞれ違います。パートナー企業などと一緒になっての研究開発が必須となります。最も重要なことは、それに向けての技術ロードマップを明確にすることです。

(出所:コマツ)
(出所:コマツ)

 いま環境問題への意識は欧州を中心に全世界で高まっています。関連市場が順調に形成されるとは限りませんが、ある程度の規模の市場が出来上がるのを待ってから研究開発に取り組んでいては遅い。だからこそ当社は、環境課題解消とビジネスのバランスを重視し、ビジネスと技術のロードマップを描いて先行投資や先行研究に取り組んできましたし、今後も続けていきます。(談)

小川啓之(おがわ・ひろゆき)
コマツ代表取締役社長(兼)CEO
1985年京都大学大学院修士課程修了、コマツ入社。コマツアメリカチャタヌガ工場長、執行役員茨城工場長、インドネシア総代表などを経て、2019年4月より現職。