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 2021年9月1日にデジタル庁が発足しました。CPO(最高プロダクト責任者)に当社ラクスル執行役員の水島壮太、CTO(最高技術責任者)にグリーCTOの藤本真樹さんが抜てきされ、その他CDO(最高デザイン責任者)やエンジニアにも民間企業の出身者が多く登用されるとのニュースもあり、今後の国の様々なサービスやオペレーションのデジタル化に大きな期待を寄せています。

 デジタル庁の新オフィスもITベンチャー企業並みの装いでしたが、その一方で権限や裁量はどの程度渡されるのか、どのような組織文化が形成されていくのか、そういった組織づくりの側面にも非常に関心が湧いています。

 デジタル庁の組織図を見ていると、組織の整理の仕方としては人材の「機能」で整理されているように見えます。興味深いのはこのツリー型の組織図とは別に「プロジェクト」や「プロダクト」の「チーム」が組成される点です。

 この点について一部メディアでは「この体制で本当に開発は推進するのか?」との声もあるようです。ただ、様々な技能を持ったメンバーが特定のミッションのためにチームを組成してプロダクトを開発するのはこれまで筆者がラクスルで推進してきたことですし、想像する範囲の中ではポジティブに見ています。

 今回はデジタルサービス開発に関わるエンジニアやデザイナーなどのテクノロジストを主体とする組織や組織文化について、個人的な考え方を展開したいと思います。

「個の特性」とは

 少し話は変わりますが、ラクスルでは四半期に一度経営メンバーが集まり、丸1日かけて経営の重要な課題について議論する場があります。その会議の朝は決まって全員で瞑想(めいそう)をするのですが、メンバーの1人がどういうわけかあぐらの姿勢をつくるのが苦手で、1人だけ体育座りみたいになってしまい、一同笑う、といったことが以前ありました。

 そういう自分も体は硬い方で、月1回見てもらっている理学療法士の先生に「泉さん開脚苦手ですか?」と聞かれ「いやー、そうなんですよ。下半身全般、柔軟性低いですね」などと話をしています。体にはそれぞれ特性があり、もちろん後天的な環境やトレーニングによって多少変わりはするかもしれないけど、生まれ持った特性が存在するので、無理にあらがうとけがや痛みにつながる、そんな話を聞かされました。

 体に限らず心にも、周りの影響や感化によって少しずつ変容していく余白もあれば、瞬時に発揮できる性質も兼ね備えていると思いますが、人間誰しも生まれ持つなかなか変え難い固定的な性質がある、という考え方が「人」を見るときの筆者の根底にあるような気がします。

 反対に骨格の作り上は無理なのに、あぐらをかいてくださいだの、屈伸をしてくださいだのを要求しても本人にとって苦痛なだけですし、そこに成果を求めること自体も間違っていると思います。

 実行は苦手だが構想を描くのが得意な人もいれば、仕事を見つけるのは苦手だが一度始めたらとにかく最後までしっかりやりきるのが得意な人がいたりします。技能においてもデザインが得意な人、エンジニアリングが得意な人、人をまとめ上げるのが得意な人。