全1953文字

 「新型コロナウイルス感染症の拡大が、スシローのDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を早めた面がある」――。回転ずしチェーン店「スシロー」が非接触サービスの「自動土産ロッカー」や「自動案内」を次々と導入している背景について、運営会社あきんどスシローの親会社であるFOOD & LIFE COMPANIES(F&LC)の小河博嗣上席執行役員はこう説明する。

DXでコロナの不安を解消

 新型コロナ禍でもスシローの業績は好調そのものだ。国内スシロー全店の売上高は2020年4~5月こそ落ち込んだが、それ以降は急回復してほとんどの月で前年同月を上回っている。

スシローの店舗ではDXが進んでいる
スシローの店舗ではDXが進んでいる
(出所:FOOD & LIFE COMPANIES、以下同じ)
[画像のクリックで拡大表示]

 F&LCが2021年5月6日に発表した2021年9月期の上期(2020年10月~2021年3月)の連結決算(国際会計基準)は、売上高に当たる売上収益が前年同期比10.1%増の1190億円、営業利益が同59.2%増の131億円と増収増益。いずれも上期として過去最高だった。

 好業績を支える要素の1つが、コロナ禍での利用者の不安を解消する幾つものDX施策だ。例えば「スシローに行きたいが、入り口で長時間待つのは密になるので嫌」という不安は、来店予約システムが解消する。

 スシローのスマホアプリやLINEアカウントで予約すると、座席に案内される時刻が分かるので入り口で待つ必要はない。2015年2月から待ち時間の算出ロジックを見直すなど改良を重ねているものだ。

 店舗に着くと受付に設置してある「自動案内」の座席案内端末に自分が座る座席が表示されるため、スタッフと接することなく席に着ける。自動案内の仕組みは2020年4月から導入を始めた。

自分の座席を知らせてくれる「自動案内」
自分の座席を知らせてくれる「自動案内」
[画像のクリックで拡大表示]

 食事中はスタッフを介さずにレーンから好きなすしを自分で取り、タッチパネルから個別に注文した商品は専用レーンで直接席に届く。食事を楽しんだ後は、2016年9月から導入しているセルフレジを使えば少ない待ち時間で人と接することなく会計を済ませられる。

個別注文した商品を専用レーンで直接席に届ける「Auto Waiter」
個別注文した商品を専用レーンで直接席に届ける「Auto Waiter」
[画像のクリックで拡大表示]

 コロナ禍で特に活躍しているDX施策が非接触とテークアウトの2つの需要に応える「自動土産ロッカー」だ。これは2019年1月から導入を進めており、事前にインターネット、電話、ファクス、店内のいずれかで注文した持ち帰りのすしを、冷蔵ロッカー経由で受け渡す仕組みだ。