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 新型コロナ禍という環境変化に応じてビジネスを変えたくても長く親しんだ企業の慣習や巨大化した既存システムが「壁」となるケースは少なくない。東京ガスもそうした1社だが、DX(デジタルトランスフォーメーション)によってその壁を打ち壊そうとしている。

東京ガスが2021年2月に新たに設立したTGオクトパスエナジー
東京ガスが2021年2月に新たに設立したTGオクトパスエナジー
(撮影:日経クロステック)
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安い電力プランを毎月提案

 起点となるのが2021年2月に設立した新会社、TGオクトパスエナジー(TGOE)だ。

 英国のスタートアップで再生可能エネルギーなどのエネルギー小売りを手掛けるOctopus Energy(オクトパスエナジー)と東京ガスとの合弁会社で、2021年秋から全国を対象にした電力小売りに参入する。TGOEの有沢洋平取締役部門長は同社のビジネスモデルを「顧客の生活スタイルに合った、得するプランをすぐにつくり、プラン変更を顧客に毎月提案していく」と説明する。

 プランの詳細は未定だが、電気を多く使う時間帯が決まっている家庭に向け、その時間帯を特に安くするプランを想定している。例えば電気自動車(EV)を利用している家庭に向け、夜間などEVを充電するタイミングの電気料金を大幅に下げるようなプランだ。

 ラインアップが少ないお仕着せの料金プランではなく、顧客が得することを主眼に置いた「変幻自在」の料金プランを毎月提供することで、利幅は小さくても長期間契約者の増加を狙う。「新型コロナ禍でテレワークをする人が増え、家庭での電気料金を気にする人が増えている今がビジネスチャンスだ」と有沢取締役部門長は意気込む。

東京ガスの巨大システムをあえて使わず

 東京ガスは以前から電力を販売している。自社で新プランを提供せず、合弁会社を立ち上げたのはなぜか。

 その理由についてTGOEの有沢取締役部門長は「東京ガスでは新プラン提供に時間がかかる」と説明する。東京ガスはガスや電気に関して幾つもの巨大システムが連携しており、機能やサービスの追加・改修は悪影響がないように慎重に進める必要があるわけだ。