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 地球の軌道上を周回する人工衛星を使ってインターネット接続を提供するサービス。高度2000km以下の低軌道上で周回する数百~数万機の人工衛星を連携させ、広いエリアで利用できるサービスの立ち上げが進んでいる。

 人工衛星を使ったインターネット接続サービス「衛星ブロードバンド」が注目されている。これまで通信環境の整備が難しかった山間部や離島などでも利用しやすく、自然災害や事故の影響も受けにくい。そのため、さまざまな危機的状況にあっても政府や企業が活動を継続するBusiness Continuity Plan(事業継続計画)用途としても活用が見込まれる。

 こうした衛星ブロードバンドサービスは、米スペースXや米アマゾン・ドット・コム、米AST & Science、英ワンウェブなどが準備を進める。また、KDDIやソフトバンク、楽天グループなどの日本の事業者も、出資や業務提携の形で各社が準備するサービスに参加している。

 スペースXは、同社の衛星ブロードバンドサービス「Starlink」向けに、すでに1500基以上の人工衛星を打ち上げている。北米やヨーロッパ、南米、オセアニアなど約20カ国でテスト版のサービス提供を開始した。同サービスでは小型のパラボラアンテナを使用し、下り100M~200Mbps程度で通信できる。AST & Scienceの「SpaceMobile」では、人工衛星を4G/5Gの基地局として一般の端末から利用することを目指している。実現すればモバイル通信の利用エリアが一気に拡大する。

 放送衛星や気象衛星は、高度約3万6000kmの静止軌道を周回するのが一般的だが、衛星ブロードバンドのサービスでは、高度2000km以下の低軌道に打ち上げた人工衛星を活用する。静止軌道上の人工衛星は地上から見て空の一定範囲に止まって見えるのに対して、低軌道上の人工衛星は常に移動する特徴がある。そのため常時接続の通信サービスを提供するには、複数の人工衛星が連携して、接続する人工衛星をその都度、最適なものに切り替えながら運用する。こうした複数の人工衛星を連携して運用する方式を「衛星コンステレーション」と呼ぶ。

米スペースXが打ち上げた「Starlink」用の人工衛星の現在地を確認できるWebサイト。低軌道上にある多数の人工衛星網を使い、広範囲で通信サービスを提供する(出所:satellitemap.space)
米スペースXが打ち上げた「Starlink」用の人工衛星の現在地を確認できるWebサイト。低軌道上にある多数の人工衛星網を使い、広範囲で通信サービスを提供する(出所:satellitemap.space)
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