ビットコインや独自の暗号資産を使って、店舗などで決済できる仕組み。クレジットカードやネット決済などの大手決済プラットフォームで対応が広がりつつあり、暗号資産が日常的に利用できる可能性がある。
商品やサービスの対価を暗号資産で支払う仕組み。これまで暗号資産で決済するには事業者ごとに対応する必要があり、国内ではビックカメラやメガネスーパーなどの大手小売チェーンが導入するにとどまっていた。一般の店舗では暗号資産による決済ができないため、利用者は事前に手持ちの暗号資産を取引所で売却し、法定通貨に換金する必要があった。
2021年以降、大手決済プラットフォームが暗号資産決済への対応を開始した。カード事業を手掛ける米ビザは2021年3月、米国の利用者向けにカードの利用代金を米ドル連動のステーブルコイン「USDC」で支払えるサービスを開始した。提携する取引所の暗号資産ウォレットとひも付けたデビットカードまたはプリペイドカードを使い、世界中の加盟店で利用できる。また同時期にネット決済事業の米ペイパルも、米国の利用者向けに利用代金をビットコインなど4種の暗号資産で支払えるサービスを開始した。
国内ではモバイル送金・決済サービスの「LINE Pay」が、LINE Payアプリ上で暗号資産を使った支払い機能を2022年3月から12月まで試験提供する。サービス開始時はLINEグループ独自の暗号資産「LINK」のみに対応するが、今後ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産による支払いへの対応も検討する。
デジタル時代の新しい資産として注目を集める暗号資産には、管理主体を置かないという特徴から日常的な決済手段としては、以下のような活用しづらい側面がある。まず、決済処理が完了するまで10分程度かかる。また、同時処理できる取引件数が少なく、混雑時は手数料が高くなる。さらに法定通貨に対して価値が乱高下しやすいなどだ。1つめと2つめは、一定の期間や信用枠内の取引について、間に入った決済プラットフォームが肩代わりすることで、実際の暗号資産の取引件数を減らせる。3つめについては、法定通貨に連動したステーブルコインや、プラットフォーム独自の暗号資産を利用することで解決できる。