特別なハードウエアが不要で、iPhoneをクレジットカードなどのタッチ決済用読み取り端末として利用できる機能。タッチ決済導入の初期費用を抑えられるため、小規模の小売業者でも対応しやすい。
米アップルは2022年2月、iPhoneをクレジットカードなどのタッチ決済読み取り端末として利用できるサービス「Tap to Pay on iPhone」を米国で開始すると発表した。iPhone本体と決済プラットフォームなどのパートナー企業が提供するアプリを使って、iPhoneを読み取り端末として利用する。専用の端末が不要で、低い初期費用で導入できる。そのため、地域の小さな店舗でクレジットカードなどのタッチ決済導入が広がるきっかけとなりそうだ。
Tap to Pay on iPhoneでサポートするのはApple Payとタッチ決済対応のクレジットカードやデビットカード、各種デジタル・ウォレット。2022年春に決済プラットフォームの米ストライプが対応し、2022年後半にはそのほかの支払いプラットフォームやアプリでも利用できるようになる予定だ。iPhone XS以降の端末で利用できる。
日本国内では以前からSuicaやPASMOなど交通系のプリペイドカードを中心に、タッチ決済が広く普及している。これに加えて、最近はタッチ決済対応のクレジットカードやデビットカードへの切り替えも進んでおり、高額決済も含めて幅広い場面でタッチ決済を利用できる機会が増えている。
こうしたタッチ決済対応カードにはNFC(近距離無線通信)用のチップが内蔵されていて、リーダーにカードを近づける動作をきっかけにしてカードと通信を行い、短時間で決済処理を済ませる。いつも持ち歩くスマートフォン(スマホ)にこのタッチ決済カードの機能を持たせ、日常の支払いを処理できるよう、現在販売中の多くのスマホはNFC機能を搭載している。
このスマホ搭載のNFC機能は、これまでは支払い側のカードの代わりとして利用することがほとんどだった。今回のサービスでは、この機能をこれまでとは逆に読み取り側として利用する。