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 実店舗で商品を確認してから、ECサイトで安く購入すること。実店舗にとっては売り上げにつながらないため否定的に捉えられていたが、最近は、ECサイトのショールーム的な場を提供する実店舗も現れ始めた。

 衣料品などは、実際の着心地や自分に似合うかどうかが購入のポイントになる。そのため、ECサイトではなく、実店舗で実物を確認してから購入したいと考える人は多い。また、カタログなどから商品をイメージしやすい電気製品でも、実際の商品に触れてから購入した方が安心だ。しかし、販売価格は、実店舗よりもECサイトが安い場合も多い。

 こうした商品について、店頭で実物を確認し、後日、ECサイトで実店舗より安い価格で購入することをショールーミングと呼ぶ。もともとは、より安く購入したいという消費者側の行動を指す言葉で、実店舗にとっては展示品が試用されるうえ、商品の売り上げには結び付かないため、好ましくない文脈で使われることが多かった。

 しかし、ECサイトを手掛ける事業者が増えた現在、独自に商品を企画し直接販売するD2C(Direct to Consumer)ビジネスを行う事業者も多く、商品の販促が課題の場合もある。こうした事業者を相手に、これまで否定的に捉えられていたショールーミングを積極的に活用する取り組みが、実店舗で始まっている。

 ECサイトで販売されている商品を店頭に並べることで、新しい客層の獲得を狙ったり、商品に関心を示した消費者の反応を集めたりする場として活用する。実店舗側は商品を出品した事業者から出品料を得たり、その商品を扱う自社の専用ECサイトに消費者を誘導したりして売り上げの取りこぼしを回避する。

 ベータ・ジャパンは、製品体験型の店舗「b8ta(ベータ)」を、東京の新宿、有楽町、渋谷に展開。客の声や行動データなどを出品者にフィードバックする。日本郵政と日本郵便も、郵便局の空きスペースを使ったショールーミングサービス「JPショールーム」の試験導入を開始し、全国に拡大予定だ。高島屋も、2022年4月下旬にショールーミングストアの1号店を高島屋新宿店に開設する。

高島屋が2022年4月下旬にオープンするショールーミングストアのイメージ。ECで商品を販売している事業者に、商品を手にとってアピールできる場を提供する
高島屋が2022年4月下旬にオープンするショールーミングストアのイメージ。ECで商品を販売している事業者に、商品を手にとってアピールできる場を提供する
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