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 脳の神経細胞が発する電気信号をコンピューターに伝えるために、体に装着するインタフェース。考えるだけでマウスやキーボード操作、ロボットアーム操作などが可能。脳信号のワイヤレス転送にも成功した。

 脳から信号を取り出し、考えるだけでコンピューターやロボットを操作できるようになりつつある。こうした取り組みで使われるのが、脳と信号をやり取りするために使われるインタフェースだ。Human Brain Interface(HBI)やBrain Machine Interface(BMI)とも呼ばれる。脳に流れる微弱電流や血流量の変化などを信号として取り出す。

 BCIには大きく「侵襲式」と「非侵襲式」の2方式がある。侵襲式は電極やセンサーを手術で頭に埋め込む方式だ。脳の活動状態を詳細に計測できる一方で、利用者の負担が大きい。非侵襲式は磁気や光を使って脳内の信号や活動状況を外部から間接的に計測する。利用者への負担が小さい半面、詳細なデータ計測が難しいデメリットがある。

 病気や事故により手足の動作や外部とのコミュニケーションが取りづらくなった人が、ロボットやコンピューターを使って失った能力を取り戻すことを目的に、1970年代からBCIが研究されてきた。2006年にはBCIを使い、コンピューターのマウス操作やロボットアーム操作ができるようになった。2021年3月に米ブラウン大学の研究チームが、4月には米ニューラリンクがそれぞれ、侵襲式のBCIがやり取りする大量のデータを無線で送信することに成功したと発表した。

 BCIでやり取りするデータは人間の思考そのものでははく、神経組織を流れる電気信号や、脳の血流などの活動パターンだ。マウスポインターやロボットアームを動かすには、計測した脳の活動パターンを分析・学習し、具体的な操作に翻訳(デコード)する必要がある。この学習、デコード処理に近年AI(人工知能)が使われるようになり、目覚ましい成果が表れている。米フェイスブックが支援するカリフォルニア大学の研究では、脳の活動データから言葉(フレーズ)をデコードすることに成功した。

米ブラウン大学の実験で使われた装置。一番下の頭に埋め込まれたインタフェースに、小型の無線転送装置を取り付けた
米ブラウン大学の実験で使われた装置。一番下の頭に埋め込まれたインタフェースに、小型の無線転送装置を取り付けた
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