インターネット上に設定した仮想の専用ネットワーク。端末とサーバー間の通信を暗号化する。外部から職場のネットワークに安全にアクセスしたり、地域で制限されているサービスに接続したりする用途で利用される。
企業や組織では、業務用のアプリケーションやサーバーなどは社内だけでアクセスできるプライベートネットワークで運用するのが一般的だ。VPNは「Virtual Private Network」の略で、通常のインターネット回線を使って仮想のプライベートネットワークを作る仕組み。
企業などで距離が離れた複数の拠点を1つのプライベートネットワークに接続すると、業務アプリの導入やリソースの共有が容易になる。この拠点間の接続には、これまで専用線が使われてきたがコストが高かった。VPNでは、専用線の代わりに通常のインターネット回線を利用でき、低コストで拠点間を接続できる。
プライベートネットワーク内にVPNサーバーを設置し、外部からはこのVPNサーバーを経由して接続する。外部端末とVPNサーバー間の通信を暗号化することで、経路の途中での情報漏えいを防ぐ。コロナ禍で在宅勤務が増え、VPNを活用する企業が増加している。
ネットサービスに対する利用制限を回避する目的でも、VPNが使われている。海外のVPNサーバーを使うと、通信経路やIPアドレスが通常とは異なる状態になり、利用制限を回避できる場合がある。ロシアのウクライナ侵攻以降、一般開放されている日本のVPNサーバーでも、ロシアからのアクセスが増加傾向にある。ロシア国内で利用制限されているSNSなどの閲覧目的と考えられる。