全697文字
PR

 2022年7月、改正刑法の一部が施行され、侮辱罪に懲役刑と禁錮刑、罰金刑が追加された。社会問題化するインターネット上での悪質な誹謗(ひぼう)中傷対策として効果が期待されている。

 侮辱罪とは、不特定または多数の人が見られる中で、具体的な根拠を提示せず他者を侮辱する犯罪だ。例えば、「△△社はブラック企業だ」などと納得できる根拠を示さずに発言すれば、侮辱罪に該当する可能性がある。また、容姿を否定する誹謗中傷も侮辱罪の対象となり得る。

 ネットサービスでは、個人間でやり取りするメールやダイレクトメッセージなどでの誹謗中傷は対象外の可能性が高い。一方、不特定多数の利用者が閲覧するSNSへの投稿や、ブログへの書き込みは侮辱罪の対象だ。

 2022年6月13日に「刑法等の一部を改正する法律」が成立した。その一部である侮辱罪の法定刑の引き上げが、7月7日から施行された。これまでは「30日未満の拘留」か「1万円未満の科料」だったが、その上限が「1年以下の懲役・禁錮」「30万円以下の罰金」に引き上げられた。

社会問題化するインターネット上での誹謗中傷を抑制するため、侮辱罪の法定刑が1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金に引き上げられた(出所:法務省のWebページ「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」)
社会問題化するインターネット上での誹謗中傷を抑制するため、侮辱罪の法定刑が1年以下の懲役・禁錮か30万円以下の罰金に引き上げられた(出所:法務省のWebページ「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」)
[画像のクリックで拡大表示]

 SNSなどの匿名性の高いサービスで誹謗中傷の被害を受けた場合、加害者を特定するにはプロバイダーなどの事業者に情報開示を求める必要がある。事業者は利用者の情報開示に慎重な立場を取る場合が多く、加害者の特定には時間と手間が掛かる。こうした状況を受けて、「改正プロバイダ責任制限法」が2021年4月に成立し、SNSなどの投稿者を速やかに特定する手続きが盛り込まれた。加えて今回、法定刑の上限引き上げに伴い、侮辱罪の時効が1年から3年に延びた。加害者が特定しやすくなり、トラブルの抑止効果が期待できる。