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 USB Type-C向けの受給電規格であるUSB PDの最新版。これまで最大で100Wだった受給電能力を240Wに拡大する。消費電力が大きいデスクトップパソコンもUSB Type-Cケーブルで給電できるようになる。

 USB端子はデータ信号の送受信に加えて、電力供給機能も備えている。これまでもキーボードやマウスなどへの給電や、スマートフォンなどの充電用の電源として広く使われてきた。

 さらに、USB Type-C端子では受給電能力を大幅に高めた「USB PD(Power Delivery)」という拡張規格も用意されている。従来のUSB給電が最大4.5W(USB 2.0では2.5W)なのに対し、USB PDでは最大100Wの受給電ができるようになった。そのため、最近はUSB PD対応のUSB Type-C端子を搭載するノートパソコンが増え、USB Type-C経由で電源を確保する製品も珍しくなくなった。

 一方で、デスクトップパソコンは消費電力が100Wを超える製品が多い。そのため、デスクトップパソコンのUSB Type-C端子はUSB PDに対応していない場合がほとんどだ。

 そこで新たに登場したのが、受給電能力を240Wまで大幅に高めた「USB PD EPR(Extended Power Range)」だ。USB PD EPRでは、USB PDで最大20V/5A(100W)だった電圧部分を拡張し、最大で48V/5A(240W)にした。端子の形状はUSB Type-Cのまま変更はないが、240Wの受給電モードを利用するには給電側、ケーブル、受電側の全てがUSB PD EPRに対応する必要がある。対応ケーブルは、ケーブルの情報を記録した「eMaker」というチップを内蔵する必要がある。

 USB PD EPRの登場で、今後はデスクトップパソコンでもUSB Type-C端子経由で電源を確保する製品が増えそうだ。例えば、ディスプレイとデスクトップパソコンを、USB Type-Cケーブル1本で接続することで、ディスプレイからパソコンへ給電しながら、パソコンからディスプレイへ映像を出力できるようになる。ケーブルの取り回しもすっきりする。

デル・テクノロジーズの小型パソコン「OptiPlex 3090 ウルトラ」(中央の黒い箱)。USB Type-Cケーブル1本でディスプレイへの映像出力と、ディスプレイから本体への給電ができる
デル・テクノロジーズの小型パソコン「OptiPlex 3090 ウルトラ」(中央の黒い箱)。USB Type-Cケーブル1本でディスプレイへの映像出力と、ディスプレイから本体への給電ができる
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