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 原子時系の「協定世界時」を、天文時系の「世界時」に近づけるために追加・削除する秒。特殊な時刻表示が発生することでICT機器に不具合が発生することがあり、見直しを求める声が高まっている。

 もともと「時」は、昼や夜、季節など、地球の自転や公転を基準とした概念だった。現在でも天文時系の「世界時(UT)」にこうした考え方が引き継がれている。しかし、科学技術の発展に伴って、正確な時の長さを決める必要が高まり、1秒間をセシウム原子の振動周期で測る原子時計を基準とした原子時系の「国際原子時(TAI)」が生まれた。

 地球の自転は、潮汐摩擦などの影響を受けて変動するため、原子時計による1日(8万6400秒)とわずかにずれる。このずれが蓄積すると、天文時系と原子時系の時間表示に差が出る。

 日常生活で時刻の基準として使われている「協定世界時(UTC)」は、原子時系による正確な1秒間を基準としつつも、数年に1度、世界時とのずれを調整する「うるう秒」を挿入することで、自然のリズムとの整合性を保っている。

 ところが近年、うるう秒によるICT分野への悪影響が目立つようになってきた。うるう秒では「23:59:60」などの特別なタイムスタンプが使われるが、これをうまく処理できないプログラムやサーバーが不具合を起こしたり、データが破損したりする可能性がある。実際に過去のうるう秒適用時には、大規模掲示板サービスが停止し、大手DNSサービスがダウンするといった影響があった。

 現在、地球の自転速度は短くなる傾向が表れており、今後マイナスのうるう秒適用もあり得る。過去にない事例で影響が見通せないことから、米メタ(旧フェイスブック)など大手IT企業が、うるう秒の適用見直しを求めている。

協定世界時(UTC)は、うるう秒で世界時(UT)とのずれを調整している。今後、地球の自転が早まる傾向が見られることから、マイナスのうるう秒補正(1秒削減)が実施される可能性もある
協定世界時(UTC)は、うるう秒で世界時(UT)とのずれを調整している。今後、地球の自転が早まる傾向が見られることから、マイナスのうるう秒補正(1秒削減)が実施される可能性もある
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