全2596文字
PR

 米Apple(アップル)が米国時間2021年6月7日から開発者イベント「WWDC21」を開催している。2020年に続いて2021年もオンラインでの開催となった。

 6月7日の基調講演は、全体を振り返るとインパクトに欠ける内容だったというのが正直なところである。ただ、これはやむを得ない部分もある。前々回の「WWDC 2019」ではiOSとiPad OSの分離、前回の「WWDC 2020」ではMacのApple Siliconへの移行が打ち出されるなど、とても大きな動きが相次いでいたからだ。

 しかもWWDC21では、事前の告知イラストに眼鏡をかけているキャラクターがいたことから、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)のグラスなどが発表されるのではないかという臆測も呼んでいた。だが基調講演ではそうしたデバイスの発表はなく、iOSやmacOSなどのアップデート解説に終始したことも、インパクトに欠ける印象を与える一因となっていたかもしれない。

アップルがWWDC21の開催を告知した際のイラストには、眼鏡をかけている顔があったことからAR・VR関連デバイスの登場に対する期待感もあったが、そうしたデバイスは登場しなかった
アップルがWWDC21の開催を告知した際のイラストには、眼鏡をかけている顔があったことからAR・VR関連デバイスの登場に対する期待感もあったが、そうしたデバイスは登場しなかった
(出所:アップル)
[画像のクリックで拡大表示]

 とはいえ発表内容を個別に見ていくと、大きく変化しているものもある。その1つとして筆者が注目したのは、コミュニケーションツールの「FaceTime」だ。今回のWWDCで発表されたiOSの新バージョン「iOS 15」では、FaceTimeが大幅にアップデートされ、全体的にコロナ禍での利用を強く意識した内容へと変化している。

 変化した点の1つは音響面の改善で、空間オーディオ技術を活用して利用者が同じ空間にいるかのような音響体験が得られる仕組みを提供するという。ビデオ通話で失われていた“場”の臨場感を再現する工夫で、違和感を減らし自然に会話できる仕組みを整えるとしている。ほかにも利用者の声を聞き取りやすくするよう、周囲の音と分離する機能なども提供されるようだ。