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 運転免許証はあらゆる場面で提示が求められ、例えば飛行機に乗る際のIDチェックもこの運転免許証で可能だ。つまり、米国内線で移動する限りはデジタル化されたパスポートがスマートフォン内に搭載されるのを待たずとも、iPhoneさえあれば財布なしで“手ぶら”の移動が可能ということを意味する。

iOS 15では米国の運転免許証を取り込んで公的IDとして利用可能になる
iOS 15では米国の運転免許証を取り込んで公的IDとして利用可能になる
(出所:アップル)
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Walletにデジタルデータとしてコピーが取り込まれた運転免許証。Secure Elementに格納された電子証明書の有効性をチェックするため、検証用のアプリやリーダーが必要になると思われる
Walletにデジタルデータとしてコピーが取り込まれた運転免許証。Secure Elementに格納された電子証明書の有効性をチェックするため、検証用のアプリやリーダーが必要になると思われる
(出所:アップル)
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運転免許証が法的に有効であれば、空港で米国内線に搭乗する際の制限エリアに向かう保安検査場でのチェックにも利用できる。アップルによれば米国運輸保安局(TSA)と共同で利用可能な空港を増やしていくという
運転免許証が法的に有効であれば、空港で米国内線に搭乗する際の制限エリアに向かう保安検査場でのチェックにも利用できる。アップルによれば米国運輸保安局(TSA)と共同で利用可能な空港を増やしていくという
(出所:アップル)
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 ただし注意点として、デジタル運転免許証が有効なのは“特定の州に限られる”ということが挙げられる。デジタルIDソリューションを提供するフランスThales Group(タレスグループ)が米国でのデジタル運転免許証の州ごとの対応状況について時系列でまとめているが、運用のパイロットプログラムを抜け出して実際にサービス提供にまで至っている例は両手で数えられるほどしかない。

 この年表にはタレスがサービスを提供していないオクラホマ州のような例も含まれていたり、すでにユタ州がサービスインしていたりといった具合にやや情報がアップデートされていない部分もあるが、概ね現状を示している。今後3〜4年で状況は順次変化していくとみられるが、まだまだ公的機関の受け入れ体制が整っていないのが現状といえる。

鈴木 淳也(すずき じゅんや)
モバイル決済ジャーナリスト
国内SIerでシステムエンジニアとして勤務後、1997年よりアスキー(現KADOKAWA)で複数の雑誌編集に携わる。2000年にプロフェッショナル向けIT情報サイト「@IT」(現アイティメディア)の立ち上げに参画したのち、2002年秋より渡米を機に独立。以後フリーランスとしてサンフランシスコからシリコンバレーのIT情報発信を行う。2011年よりメインテーマを「NFCとモバイル決済」に移し、現在ではリテール向けソリューションや公共インフラ、FinTechなどをテーマに、世界中で事例やトレンド取材を続けている。著書に「決済の黒船 Apple Pay(日経BP刊)」がある。