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 経済産業省と東京証券取引所が2021年6月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」。「日本の先進DX」といえる選定企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。不動産事業や人工知能(AI)開発などを手掛けるSREホールディングス(旧ソニー不動産)は、ITを駆使した不動産業界のDXに力を注ぎ、銘柄選定企業の中で最もデジタル時代を先導する企業として「DXグランプリ」に輝いた。

 ソニーグループから発足したSREホールディングスは、デジタル技術を駆使して自社のビジネスモデルを変革し急成長を遂げてきたDX先進企業だ。トップ主導で自社のDXに取り組むのみならず、社内で培った技術を外部にも提供し不動産業界のDXを推し進めている。

自社開発のシステムを外販し不動産市場を活性化へ

 「創業当初は得意のテクノロジーを武器に不動産市場でシェアを拡大する戦略だったが、途中から自社開発システムの外販も始め、市場自体の活性化に力を注ぐ戦略に切り替えた」。SREホールディングスの西山和良社長兼CEO(最高経営責任者)はこう語る。

SREホールディングスの西山和良社長兼CEO
SREホールディングスの西山和良社長兼CEO
(写真:村田 和聡)
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 同社はもともと、デジタル化が遅れる不動産業界でテックを自社活用し、オペレーションを効率化して市場でシェアを奪う戦略を取っていた。ただ順調に仲介事業のシェアを伸ばしていく過程の2016~2017年ごろに、「同業の不動産会社経営者から当社のシステムを外販してほしいという声を多くもらうようになった」(西山社長兼CEO)。

 西山社長兼CEOは不動産業界でDXの機運が高まっていることを察知。不動産仲介市場の限られたパイを奪い合うのではなく、自社開発のシステムを外部に提供することで不動産業界のデジタル化を進め、市場全体を活性化させる方向に舵(かじ)を切る決断を下した。「当社の仲介事業は着実に伸びていたが、まだ規模がそれほど大きくなかったことも、一気にビジネスモデルを変える決断の後押しになった」(西山社長兼CEO)。

 同社は2018年度から本格的に自社システムの外販を開始。売り手の集客から最終的な契約業務まで、不動産取引の川上から川下までをカバーしているという。「当社は自分たちでリアルな不動産取引を行っており、現場の営業にとって本当に使いやすいシステムを社内のエンジニアが内製で開発してきた」と西山社長兼CEOは語る。