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 経済産業省と東京証券取引所が2021年6月に発表した「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2021」。「日本の先進DX」といえる選定企業の事例を厳選して取り上げ、DX推進の勘所を探る。清水建設は空調や照明、エレベーター、自動ドア、監視カメラ、入退室カードリーダーといった設備機器を、メーカーを問わず連携させ運用・制御する仕組みを構築した。

 石川県金沢市の清水建設北陸支店。社員がオフィスの席に着くと床面の空調が作動し、設定しておいた好みの風量に自動調節する。風量の設定は社員がスマートフォンで変えられる。

一般社員がスマートフォンで空調の設定を変更(写真提供:清水建設)
一般社員がスマートフォンで空調の設定を変更(写真提供:清水建設)
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 これは清水建設が開発した「DX-Core」の活用例だ。DX-Coreはビル向けの「建物OS」で、空調や照明、エレベーター、自動ドア、監視カメラ、入退室カードリーダーといった設備機器を、メーカーを問わず連携させ運用・制御する仕組みだ。北陸支店では社員のスマホとビーコンを使って社員の位置を特定し、空調と連動させた。

「建物OS」のため22社と協業

 清水建設は建物OSを実現するため、三菱電機、パナソニック、セコム、ホーチキなど22社と協業している。DX-Coreでは各設備を連携制御するためのインターフェースプログラムやAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を協業先と共同開発。空調の自動制御や入退場制御といった機能を、ローコードで比較的簡単に建物に付加できるようにした。

図 清水建設が開発したビルOS「DX-Core」の仕組み
図 清水建設が開発したビルOS「DX-Core」の仕組み
様々なメーカーの設備をアプリと連携(出所:清水建設の資料を基に日経コンピュータ作成)
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